ユンファ

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリーのユンファのレビュー・感想・評価

4.7
ディズニー買収以後のスター・ウォーズの監督としては、ロン・ハワードは最もベテランである。
これまでの若手監督たちがスター・ウォーズを観て育った世代であったのに対し、彼は直接ジョージ・ルーカスを知る、いわばパダワンだ。
だから、当然これまでの監督たちとも思い入れや、作品に対する姿勢は違う。
「ハン・ソロ」は紛れもなく青春映画だ。
ロンが目指したのは、「スター・ウォーズ」の新作ではなく、「アメリカン・グラフィティ」のリメイクであり、彼なりのルーカスへの回答だ。
青年の葛藤と成長、愛する者との別れ。
時計の針は決して元に戻ることはなく、運命に抗うことは出来ない。
ルーカスの哲学を遵守し、後付けではあるがロンなりのハン・ソロ像を提示する。
「ハン・ソロ」という作品自体が、パダワン(ロン)からマスター(ルーカス)へのギフトなのだ。

ロン・ハワードのギフトは、僕らにハン・ソロの新たな面を見せる。ハリソンでないハンはハンじゃないという人、ハンはこんな奴じゃないという人、様々な意見があるだろう。
誰もがハンを愛しているのだから。
ハンは僕らのヒーローなのだから。
どんな意見があってもいい。
ハンを大好きなファンの気持ちは揺るがない。

孤独(ソロ)だったハンは、師や初めての仲間と出会い、一人ではなくなる。後に伝説となる冒険を経て、ラストには本当に大切な存在を見つける。
ダイスの転がって行く先を、僕らは知っている。彼を待ち受ける新たな出会いと苦難、手に汗握る冒険の数々を。やがて手に入れる自由と、家族を知っている。
高らかに鳴り響くエンディングテーマを聴いた瞬間、ハンとチューイのこれまでとこれからが交錯し、不意に何とも形容し難い感情に見舞われた。
ロンの「スター・ウォーズ」と、ルーカスの「スター・ウォーズ」は違う。
面白いつまらないは関係なく、違うのだ。
僕らはもう、ルーカスの作る新たな「スター・ウォーズ」を見ることは出来ないだろう。
そのことが淋しくもあり、別の人間による全く新しい「スター・ウォーズ」が楽しみでもある。
きっと僕らファンはこれからも、この複雑な感情に囚われ続けるのだろう。
それこそが、全てのファンが背負うべき重荷なのだ。
ユンファ

ユンファ