あでゆ

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリーのあでゆのレビュー・感想・評価

3.5
帝国軍が支配する時代。惑星コレリアで生まれ育ち、自分の力だけで生き抜いてきたハン・ソロは、銀河で一番のパイロットになるという夢を抱いていた。やがて宇宙に飛び出した彼は、チューバッカという相棒を得る。彼らは、幼なじみの美女キーラらと一緒に、危険な世界に通じたトバイアス・ベケットが率いるチームに加わり、壮大な冒険に身を投じる。

思ってたより良かった。ただなんというか『FFXV』のコラムで書いた事だけど、物語が書き足されて読み手の想像の余地がなくなっていくのはどうなんだろうなぁという意味で業が深い作品。そういう意味で別に観るほどの価値は無いといえば無い。この映画を見たおかげでハン・ソロというキャラクターは僕の中で死んでしまった。

それでもアリと思った理由は、ハン・ソロの素晴らしい演技と今までで最も帝国軍とナチスを露骨に重ね合わせてきたところ。序盤のプロパガンダだったり、WW1みたいな戦争兵器描写だったり、ネイティブ・アメリカンを意識した展開だったりがホントストレートに刺さった。デザインはオリジナルトリロジーを抜いたら過去最高だったよ、オリジナルより垢抜けてない感じがまた素晴らしい。

一方で、西部劇ライクな部分とか物語は雑だった。まあ列車強盗みたいなところとか早撃ちはわかるんだけど、目配せ程度にしか働いていなかったと思う。ただラストのベケットを殺すシーンは、ルーカスの歴史修正主義に対するディズニー側の回答ともとれる。
つまりベケットが話してる最中にちゃんと先に撃ってくれるのが良かった。レイダースオマージュでもあるけど、あきらかに『スターウォーズANH』のグリードのシーンを参考にしていて、ディズニーからこれが出るということは2020年以降の円盤は元に戻るかもしれないという一筋の希望が得られた。

ディズニーにしては、という意味では割と下ネタとか多かったし、フェミニスト皮肉ったようなネタとかはフィル・ロード&クリス・ミラーのアイデアなのかなとも。あとやはり帝国軍に黒人だの女性がおらず、一方で反乱側が非常にリベラルなのがとても良い。

ただ話は割と雑。一番意味不明だったのは、ソロ側は大して時間経過してないのに、キーラはもう何年も性奴隷やってましたみたいなテンションだったりで全体の時間経過がよくわからない。(追記:どうやら3年経ってるらしいが、テロップ見逃してたか。とはいえ、時間経過を思わせるシーンが無いのはそれはそれで問題だろ)
あとキャプテンファルコン手に入れてからはなんでソロが律儀に働いてるのかわからなかった。彼にとってはあの状況ならファルコンと女連れて逃げるのが最良だったはずだ。だって女連れて行こうとしたらいずれにせよ追われる身になるのは変わらないはずだし。というかキーラ死ぬのかと思ったら死ななかった。レイアのことを思う裏であの約束在るしなあとか思ったりしないんだろうか。

全体的に暗いシーンが多くて、見せ場のタメも少ないのでキャプテンファルコンフェチ的には0点以下の映画でもある。実際初搭乗シーンとか、ラストのハイパースペースジャンプするところとかはもうちょっとタメて魅せて欲しかった。

余談だけど、「カンティーナの酒場」っていうセリフが何故か「暖かい土地の酒場」っていう謎訳だった。
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