ソラアユム

忍びの国のソラアユムのレビュー・感想・評価

忍びの国(2017年製作の映画)
3.5
時は戦国時代
徐々にその勢力を拡大していた織田軍が攻め落とせない強国"忍びの国"が伊賀にあった…


圧倒的な武力を持つ伊賀一の忍び"無門"の活躍を描く忍者アクションムービー。

思ったよりは面白かったです。

概ね設定は良かったとかなと。
アクションも悪くない。
人の死を軽く扱う演出や合戦シーンでさえもコメディタッチで描いていたりと忍びの国の人々の異常さをしっかりと表現できてました。
彼らの異質な強さに妙な説得力を持たせることに成功していたと思いますし、これが忍びの生き方の一つの正解なのかもしれないと納得できる程度には楽しめました。
忍者アクションも外連があって、変わり身の術なんかは初見時普通に驚いたし、邦画の中でも見応えがある方なのではと感じます。

ただ欠点も多くてこの点数に収まりました。

無門が物語の主人公としてかなり魅力を欠くキャラクターなんですよね、残念ながら。
自他共に認める最強の忍びで、夫婦になる約束をしている"御国"(石原さとみ)にぞっこん……以外の事は全く分からない(汗)
彼の行動原理全てが"御国の為"という非常に受動的なキャラクターで、強靭無敵最強以外の魅力は皆無です。
ストーリーの終盤で、やっと無門の人間的な側面が顔を覗かせ始めるも、かなり粗い展開でずっとコメディタッチだったのに急にシリアスになったりでバランスも悪いし、最後にこんな展開見せられても微妙に感じるだけ。
輪をかけて良くないのが全編コメディタッチで描かなかった事なのではないかと。
終盤もそうですが、織田軍サイドの話になると途端にシリアスなトーンになってストーリーのテンポが悪くなる。
織田信勝の有能な父親に抱くコンプレックスだとか、忍びの国攻めるか否か問題とかやけに重いトーンで描かれてはいるんだけど最後まで割いた時間の割に特にたいした意味は無いんですよね。

キャストは全員良かったです。
ツンツンな石原さとみを見たい方にはオススメな一本。