てっきりイスラエルvsパレスチナかと思っていたら、美容室の外で起こっているのはパレスチナ人同士の抗争だった。
女主人はロシアからの移民。そのせいかどことなく冷めている雰囲気で客の会話にも入らない。「早くしてよー」ってつつかれてもスルー。たったひとりの従業員にも厳しい態度だ。
結婚式を控えた花嫁の後ろには姑、小姑、実母が雁首を揃えていてなんとも言えない緊張感w
離婚調停中で担当弁護士との逢瀬を楽しむ女のむだ毛を、マフィアの男と別れ話で揉めている店員がキレ気味にワックスでバリバリ言わせながら抜く。
ドラッグ中毒の女とどんなときでもヒジャブを取らない敬虔なムスリム女。このふたりの会話がなかなか面白い。
妊婦のお腹ははち切れそう。
そんな中で起きた外でのドンパチ。
電気を止められた中で、店主はランタンのあかりひとつで花嫁にメイクをする。ここにきて結婚式を中止しようという気がないのに驚いた。
こんなことは日常的に起こっていることだからだろうか。
ファタハだろうがハマスだろうが、働かないのも暴力ふるうのも戦争するのもみんな男!男たちみんなバカ!
花嫁にドレスを着せることは女たちの意地のようにも見えた。
この生活、パレスチナ、世界の状況が、変わらず明日も続くのだと思わせるラスト。
密室劇特有の中だるみはあるが、なかなかの良作だった。