HicK

アリータ:バトル・エンジェルのHicKのレビュー・感想・評価

4.1
《親心が湧く濃い2時間》

【知識なしでも】
原作、アニメ、まったく知らないのに結構好きだった。中身の濃い2時間。素晴らしいテンポで無駄なシーンが無く、ドラマをワンクール見たかのような充実感。よくまとまっていたなぁという印象。

【愛着が湧く成長記】
アリータを通して1人の伝記を見ているような気持ちにさせられる。全てに興味や疑問が湧く純粋な幼少期、物心がつき時に反抗もする青春期、信念を元に行動しようとする成人期。そんな人間と同じ成長過程を見守りながら愛着が湧いた。

【で、親心も湧く】
アリータを中心に登場人物たちの関わりや関係性も面白く、メインキャラ全員に二面性があるのも魅力的だった。これは原作の賜物なのかな?だからこそドキドキしながら「幼少期から見てきたアリータ」に対して「その人信頼していいの?」と変な親心が生まれ、どっぷり世界にハマる要因にもなった。

【美しい音楽】
つい美しいヴィジュアルに見入りがちだが、その背景でかかる音楽も素晴らしかった。壮大で感情を盛り上げるオーケストラがとても素敵。「マンガSF=電子音」の流れを断つようなサウンドトラックは逆にすんなりと世界に入らせてくれた。

【ただ一つ、】
チレンがアリータをかばうシーンが唐突に思えた。もちろん自分の娘と重ねた点で納得はできるのだが、劇中は振り切った悪役という印象が強かったので、もう少し徐々に心の推移を見せて欲しかった。

【総括】
本当に大満足。原作の知識は無くとも、制作者たちの愛が感じられる作品だった。うまくまとめ上げた内容の濃さとキャラクターたちの魅力で飽きる瞬間が無い作品。なにより、親心を沸かせる描き方はとても魅力的。
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