オルキリア元ちきーた

アリータ:バトル・エンジェルのオルキリア元ちきーたのレビュー・感想・評価

2.9
前から映画化の話は出ていて、製作情報が少しずつ紹介されていたが、やっと上映日が知らされた。

原作の木城ゆきとのファンとしては複雑な心境。
「ハリウッドに料理された銃夢」が、原作からどれだけかけ離れてしまうか?を見届けたいような、見ない方がいいかも知れないような…(笑)

↑↑以上が鑑賞前の感想
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ここから鑑賞後の感想↓↓↓

やっとこさ4DX3Dで鑑賞。

原作を読んでいない人は、楽しめたと思う。

原作を読んでいると

「あぁ、ハリウッドの料理って
見た目は立派だけど、大味なんだなぁ…
やっぱりね…ハァ」

っていう感じ。

名前が変わったとか
CGの出来による「キャラのアメリカナイズ」なんかは、まだ想定内ですよ。
お目目の大きなアリータちゃんもキュートでしょ。
あの十代前半くらいの華奢な骨格の女の子の儚さや危うさは、自分の娘もそうだけど、とても可愛いよね。
バーサーカーボディになったら急にボンキュッボンになってォィォィってなったけどw
ヒューゴ(原作ではユーゴ)も、まぁアメリカンなピュアな青年ならこんなもんだよね。
ザパンもベクターも頑張って寄せてた(ザパンのオデコのブルー・オイスター・カルトのマークはさすがに外されるよねw)し、イドだってなかなかよく原作に合わせてたよ(アシスタントがゴンさんじゃないのが残念だけど)。

だけど、原作の、あの初期の宿敵のマカクがいないとは。
グリュシカだっけ?あれはOVAで出てきたキャラなのね。それとチレン(ジェニファー・コネリー)も。

あの原作のマカクの凶々しさ・キ◯ガイっぷりは、まぁハリウッドじゃ無理だろうな。

モーターボールの場面も、思ったより少なくてガッカリ。
4DXで観たのはこのシーンのためみたいな感じだけど、アッサリしてた。
むしろアクアマンの方が堪能出来た。
モーターボールの話も、後半の「ザパンに追われるヒューゴ」を出すための伏線扱い。
しかもメカニックがイドかよ!
しかもザパンがダマスカスブレード持ってんのかよ!!?
アレはイドから贈られてこその武器じゃないのか?
アリータちゃん武器盗んじゃったのかよ!
ヒューゴ刺した武器なんか使うんじゃねーよ!!

あと、これは今後の続編への布石なんだろうけど、ノヴァ(ディスティ・ノヴァ)が、まるでザレムの支配者みたいな演出されてて、ここでも「難しい相関図だと作りにくいからもっと単純にしよーぜ!」っていうハリウッド脳が働いてるよ!!

アリータは、いったい何がしたいの?

ヒューゴがザレムに行きたがったのは
こんなゴミみたいな街から出て行くんだ!っていう願いだけど、みんなと結構楽しそうにストリートモーターボールやって遊んだりしてる。
そんでアリータと恋におちたら、わざわざザレムに行かなくても良くない?
サイボーグになってまで行きたがるほどの理由が分からない。そしてアリータの「危ないからザレムしゃなくてもいいじゃん!」って言葉にアッサリ「そうだね」って戻ろうとする。
お前のザレムへの熱意はその程度か。
そしてその時のアリータはザレムなんて行きたいとは思ってない。ヒューゴの安全が第一。
だからその後のアリータがザレムを目指す(ようなポーズをとる)展開に無理が出てくる。

モーターボールでチャンピオンになって(そうそう、ジャシュガンとの出会いも全く触れられてなかったねぇ)

ザレムに行って、蘇った記憶の「ザレムを倒せ」というミッションを、ノヴァを倒す事でコンプリートしたいのか。

決定的に「そうだよ、ザレムに行かなきゃダメなんだ!」という伏線が乏し過ぎる。

だいぶ単純化されて、かなり端折られたねぇ。

本来なら、あのバーサーカーボディも、あまりの恐ろしさに封印されるはずだったんだけど(因みに最初のアリータの彫金入りボディも、原作では娼婦の体をイドが狩ってきた事になってる)、アリータはアッサリ使いこなしてるからねぇ。

まぁ、原作通りにはいかないのは承知の上だけど
手の込んだ奥行きのある味わい深い日本料理が、アメリカ人に見た目は派手なファストフードにされちゃった感じがどうしても抜けない。

ていうか、原作を再現するのはやっぱり無理ってことよね。