てっぺい

アリータ:バトル・エンジェルのてっぺいのレビュー・感想・評価

3.0
【製作工程にへぇしたい映画】
恋して戦うザイボーグが人に見えてくる、「アバター」監督真骨頂な映像のリアルさと迫力で、世界観に没入必至。その世界観を作り上げる実際の製作工程を覗いて、へぇボタンを連打したい!笑
◆概要
原作は木城ゆきと「銃夢(ガンム)」。脚本・製作は「アバター」のジェームズ・キャメロン。監督は「シン・シティ」のロバート・ロドリゲス。出演は、アリータ役に「メイズ・ランナー」シリーズのローサ・サラザール、「イングロリアス・バスターズ」のクリストフ・ワルツ、「ビューティフル・マインド」のジェニファー・コネリーら。ローサがパフォーマンス・キャプチャーを使って演じた映像に、大きな瞳のCGを重ねて再現している。
◆ストーリー
数百年後の未来。サイボーグの少女アリータがサイバー医師のイド博士によって目を覚ます。彼女は300年前に作られた最終兵器であり、彼女を破壊するため、次々と凶悪な殺人サイボーグが送り込まれてくる。アリータは、迫り来る敵たちを圧倒していくが……。
◆感想
とにかく映像のリアルさが素晴らしい。アリータの喜怒哀楽の表情の豊かさや肌の質感、一部が機械化された体、もしくは顔だけが人間のサイボーグ、近未来の街並みや乗り物まで、映像に全く違和感がなく、その世界観に没入できる。同時にそれを実現する撮影技術が気になってしょうがない。
特筆すべきは、顔のドアップになった時の毛穴まで見えるような肌の質感と、アリータの笑顔。今までのこの手の映画で表現されてきたもののどれよりも、1番“肉肉しい”人肌に近いものだった。さらに笑顔もどれよりも自然。「アバター」でその映像技術に度肝を抜かれたけど、この映画ほど笑顔の豊かさ・自然さはなかったと思う。調べると、このパフォーマンス・キャプチャーという技術は、演じるローサの顔にマーカーをつけて2つのカメラで撮影する事で、より立体的でリアルなアリータを映像化する事が出来たのだとか(https://www.gizmodo.jp/2019/02/alita-vfx-interview.html)。リアルさに納得。この撮影技術があったからこそ、アリータがサイボーグから恋する普通の少女になっていく過程も微笑ましく、ボーイフレンドとのやり取りに違和感がなくなってくる。この技術があったからこそ、この映画に没入感がグッと増しているわけで、ジェームズキャメロンが製作に入った最大の効果でもあると思う。
ただストーリーが個人的には残念。ザレムの実態の描写がおざなりなことでモヤモヤが残るし、アリータの出生の訳がザレムの滅亡なのであれば、この映画のゴールがそこに届いてなさすぎる。逆に言えば、続編で全体像を描いてくれれば…総合的に大作になり得るとも思うけど。
映像技術のさらなる進歩を感じた映画でした。これもまた映画の奥深さの1つ。
てっぺい

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