七沖

アリータ:バトル・エンジェルの七沖のレビュー・感想・評価

3.7
〝天使が戦士に目醒める〟
韻を踏みつつ、美少女が無双する展開をイメージできる、わかりやすいキャッチコピーだ。

大戦が終わり、天上と地上に分かたれた世界。天上から落ちてきた壊れかけのサイボーグは、博士に拾われて修理され、アリータと名付けられる。尋常ではない戦闘力を発揮するアリータだが、彼女には天上にいたころの記憶がなく…というストーリー。

実写キャストに混じると、アリータの目のサイズに違和感があるかと思ったが…
気づけば序盤から好感を持てていた。
この辺りの感覚は、『アバター』で人間とナヴィが同じ画面に収まって違和感が無かったあの感じに似ている。

見所はなんと言ってもアクションシーンだ。バーでの乱闘は古き良きカンフー映画を彷彿とさせる。イドが止めに来た時に、手近な男にもう一発食らわすあたりも含めて最高だ。
そしてモーターボールのレースシーン。これは本当に今まで観たことがない映像を見せてくれる。スクリーンXで観たこともあり、この迫力は近年観たアクション映画の中でも随一の気持ち良さだった。マンガ原作らしいケレン味の効いたアクション・構図が多く、正直このモーターボールだけで映画が一本作れると思った。

だが、マイナス点もある。
序盤の怒涛の展開と比較すると、後半はどうしても冗長に感じてしまう。かと思うと「えっ?」と思う急展開もあったりして、とっ散らかった印象が否めない。
アリータが終始魅力的に描かれているおかげで、ストーリーというよりはキャラの魅力で最後まで観れた気がする。

とはいえ人間とフルCGキャラが違和感なく共存している作品ということで、一定のインパクトはある。CGキャラならではの大胆で洗練されたアクションシーンはとにかくシビれるので、間違いなく映画館で観る価値のある作品だ。
七沖

七沖