東京キネマ

アリータ:バトル・エンジェルの東京キネマのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

前評判に違わず素晴らしい出来上がりです。しかしながら、これでも非難されるとは、いやはや、本当に厳しい。整理すると二つ。一つは、なんだあのギョロ目、気持ち悪い、けど見慣れてくると気にならない(ゲシュタルト崩壊しただけか?)、だけどさあ、映画で2D的CGIキャラは意味ねえんでねえ? それと、ザレム見せなきゃ、話は完結してねえじゃん、金返せ、の二つかと。

一つ目の話に関しては美的センスの問題なので、これは好き嫌いの話。私は、3D世界の中に日本アニメをマーキングしつつも、むしろ2Dの世界観に観客を引き込みたい、とトライしたジェームズ・キャメロンを褒めたいです。あの眼と眼球の大きさのバランス、そして体型とのバランスなどなど、相当研究してないとあそこまでは持っていけない筈で、むしろ大成功じゃないかと思ってます。

二つ目の話は、これはアニメ系の人が多く言っていることなんですが、映画を良く見る人だったらこれは続編のブリッジなんだとピンとくる筈で、悲しきヒューゴの死だって十分復活出来る余韻もあるし、伏線ぶん巻いて、続編は色んなキックオフが選び放題だぜえ、俺って最高だろ、っていうロバート・ロドリゲスの声が聞こえてくるくらいのハッピィ・エンディング(うまい結末)だと思いますよ。

それよりも何よりも、私が気になってしまったのは、日本アニメの黄金則がないこと。原作未読なんで言うのも何なんですが、アメリカン・コミックスとの大きな違いは、日本アニメの主人公は必ず集団の中に居て、敵と戦うにしても、主人公の成長物語と一緒に強くなっていくものなのです。しかし、このアリータは最初から滅茶苦茶強いし、一個人の戦いで完結しちゃってる。それにね、サブ・キャラがボス・キャラのように強くて、尚且つ、ボス・キャラがグリシュカで、だが実態はベクターがフィクサーで、って絶対やっちゃいけないボス・キャラの二段設計。(というより、雑魚キャラを強くし過ぎて、ボス・キャラが埋没しただけか) それに最後の決戦が斬鉄剣という芸の無さ。う~ん、こっちの方が余程気になっちゃうんですよね。

まあでも、これは瑣末な話でして、アニメ・キャラとしては「愛に生きる無敵のサイボーグ少女」というのが新鮮ですし(もう痛々しくて涙が出てきますよ)、技術的にも見事にバージョン・アップされたパフォーマンス・キャプチャーを楽しむってことだけでも充分満足できます。これ以上、何を望むっていうんでしょうか。
東京キネマ

東京キネマ