るるびっち

アリータ:バトル・エンジェルのるるびっちのレビュー・感想・評価

3.6
ジェームズ・キャメロンはアクションとロマンスのバランスが絶妙な人だ。
今回ロドリゲスが監督したことによって、その辺のバランスが微妙。
結局、アクションではバーサーカーボディを入手した後半よりも、腕一本で戦う中盤の方が印象に残る。ボディを変えての違いがあまり印象に残っていない。
同じトリプルアクセルでもジュニア時代の浅田真央(今なら紀平梨花か?)と、大人になってからの真央ちゃんでは、迫力が違う。ボディを変えたのなら、その違いが迫力に出ていないと意味がないと思う。

少女のボディからバーサーカーボディに変わるというのは、解り易く女性の体の成長を暗喩している。
他にも、人口心臓を渡そうする(好きな男にハートを捧げる)。
涙を刀で真っ二つに切る(悲しみを断ち切る)。など、解り易いメタファー表現が多い。
解り易いのがキャメロン脚本の良さだろう。

『タイタニック』『ターミネーター2』など、どちらも自己犠牲がある。
今回も海と空の違いはあるが、ディカプリオのように沈んでいくシーンがある。
しかし自己犠牲ではないのでロマンスに繋がらない。
普通自己犠牲というと古くて陰惨なイメージだが、キャメロン脚本の場合は自己犠牲が相手の未来に繋がっていく。だからロマンス度が増す。未来に向かって開かれているので、悲しみ以上の使命感があって盛り上がる。
今回はその辺が自己犠牲ではなく自己中心的な行動だった為、意思を次ぎ使命感を持って涙を断ち切っているのに、ロマンスに繋がりきれていない気がする。
キャメロン自身が演出していたらどうだったのか? とやはり思ってしまう。

原作は知らないが、キャメロンがこの企画をやりたいのは解る。
強い女性の闘う意思と母性という、相反するものをいつも描いている。
『エイリアン2』も『ターミネーター2』もこれも女性像は変わらない。
きっとマッチョな女に、しばかれながら抱かれたい人なんでしょうなキャメロンは・・・
今回はサイボーグ故に、マッチョでなく華奢なのに強いという若干ロリコン化している所が益々ヤバイ!!
自分の性癖で、億の金掛けて映画創っていいもんでしょうか??
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