10円様

メリー・ポピンズ リターンズの10円様のレビュー・感想・評価

3.8
私達が観たかったロブマーシャルはこれだ!これはとても素晴らしい続編でした。というかこれをリメイクではなく正当な続編として制作したのはとても勇気がいる事だと思います。1作目の持つミュージカルのカリスマ性を50年の時を経て踏襲する困難さ。ジュリーアンドリューズに染み付いたメリーポピンズ像を見事に受け継いだエミリーブラントはさすがだし、ロンドンのむせ込むような暗い雰囲気を50年前のまま持ってくるあたり、新しくも懐かしい敬意を感じられました。
「シカゴ」であのギラギラしたミュージカルを披露してくれたロブマーシャルですが、それ以降パッとしなかったのも確かです。「NINE」のノワールタッチも「イントゥザウッズ」のダークタッチも良いでしょう。しかしブロードウェイ出身である彼の持ち味は、こういった「楽しいミュージカル」なんだと思います。ダンサーをシンクロさせた人本来の整った動き、小道具をふんだんに使ったトリッキーな動き、CGを駆使した躍動感の味付け、そして一番重要なのが前作へのオマージュともいえる2Dアニメーションとの融合(正直これがなかったら続編と認める人は少なかったと思う)あの超名作「メリーポピンズ」をロブマーシャルが監督すると聞いた時、これは成功する気がする!なんて思いましたが、どうやら間違いではなかったようです。
キャストもメリルストリープやコリンファースが上手い具合に脇を固め、ベン・ウィショーとエミリーモーティマーが子供心を忘れた時代の波に苦難する兄弟を演じてくれます。ディックバンダイクが元気な姿を見せてくれるのも何とも嬉しいサプライズですが、今回誰しもが目を見張ったのが、ジャック役のリンマニュエルミランダではないでしょうか?立ち位置的には前作のバート役で、前作同様メリーとのダンスややり取りは抜群でした。思えば神曲の「チムチムチェリー」を歌ったのはバートでしたもんね。優しくて頼りがいがあって、表情豊かでキュンとする面も持ち合わせるジャック。しかもラッパーならではのナンバーも披露してくれて、ここがロブマーシャルの面白いところだなと思いました。
一つ難点を挙げるとすれば、やはり楽曲は前作に及びませんでした。映画は知らないけど歌は知ってるってのが前作にはありましたが、今回は…ここは聴き込む必要がありそうです。
60年代の黄金期からに比べるとミュージカル映画は確かに退廃しています。一時期復活の兆しも見えましたが、年に1〜2作ヒットが出れば成功という感じです。しかし今ここに来てまだまだミュージカルは映画界への需要を証明させてくれました。今後もこんな人の心を明るくさせるミュージカル映画と出会いたいたいなぁ…という思いを込めてしたためます。