ayellowbird

ベロニカとの記憶のayellowbirdのレビュー・感想・評価

ベロニカとの記憶(2017年製作の映画)
3.4
ジュリアン・バーンズの小説 “終わりの感覚”をリテーシュ・バトラ監督が映画化したミステリードラマ。
60歳を過ぎ、一人静かに引退生活を送るトニーのもとに、見知らぬ弁護士から手紙が届く。それには、40年前に別れた当時の恋人ベロニカの母親が、トニーに日記を遺していると記されていた…。
最初に立ち込めた霧が、終盤一気に薄くなるが、結局最後まで消えることなく終焉を迎える作品!
現在と過去を行きつ戻りつしつつ、 元恋人ベロニカと親友のその後や、ベロニカの母親がなぜトニーに日記を遺したのかが明らかになっていく。しかし、それもトニーの記憶というフィルターを通して繋がっていく事実であり、真実かどうかは分からない。人間は誰しも、過去の出来事を美化し、自分に都合が良いように記憶のピースを入れ替えていく…。
もし、あの時、別の行動をとっていれば、違った人生になっていたかもしれない。そんな仮想現実に思いを馳せつつ、若き日の思い出を振り返るのも、人生を精一杯生きてきた人にとっては、セカンドライフのささやかな楽しみになるのだと思う。
ayellowbird

ayellowbird