MOE

ベロニカとの記憶のMOEのレビュー・感想・評価

ベロニカとの記憶(2017年製作の映画)
3.9
原作を最近読み、たまたま映画版がwowowで放送されたので凄くラッキーでした!!
原作本を読んで映画を観るときって、ちょっと違った目線で観ちゃう私。
どうしても比べてしまいます(笑)

今作は、本の大事な部分が忠実に描写されていて、且つ映画的な部分も上手く混ざり合っていて、とても良かったです。

この作品のキーは「記憶」。
記憶って案外頼りにならない。誰かの記憶はその人にとっては正しくても、他のだれかからすると間違いかもしれない。記憶の正否を真正面から問いかけ、登場人物を徹底的に揺さぶる。
記憶はその人の歴史なのか。どうしても、自分にとって都合のいい記憶が事実よりも先行してしまう場合もある。歴史も、誰かにとっての都合のいい記憶が、不完全な文書と出会うことで確信が生まれ、事実に先行してしまう。
そういう意味では、記憶も歴史も紙一重なのかも。記憶をその人がこれまで生きてきた歴史だとすると、それが覆されることはまさに人生のどんでん返し。過去の歴史の誤解が解消されることで、また新しい歴史が紡ぎ出されていくんだろうなあ。

とにかくシャーロット・ランプリング様の深みが凄い。
MOE

MOE