のんchan

ベロニカとの記憶ののんchanのレビュー・感想・評価

ベロニカとの記憶(2017年製作の映画)
4.2
小説の映画化らしく、面白い小説を読み進め、次は?次どうなる?と1ページを早くめくりたくなるような気分で観ました。

この映画の興味深いポイントは3つ
1.記憶って相当曖昧で自分に都合良く変換するもの。
2.謎解きが複雑でずっと頭の体操する。
3.会話のシニカルさが面白くて堪らない。

ちょっとしたミステリー調で進むが、観終わる頃にドーンと戸惑いに変わるのですが...


トニー(ジム・ブロードベント)は小さな中古カメラ屋をやりながら平穏な年金生活を送っているバツイチ。ある日、法律事務所から一通の手紙が届く。そこには、学生時代に付き合っていたベロニカという女性の母が、トニーの学生時代の友人であり自殺したエイドリアンの日記をトニーに残しているとの内容が書かれていました。

トニーは、なぜエイドリアンの日記をベロニカの母が持っていたのか?ベロニカは今どうしているか?と不可解な気持ちを抱き、自分自身の記憶を辿っていく事になります。

トニーと元妻マーガレット(ハリエット・ウォルター)には娘がひとり、今シングルマザーとして臨月を迎えようかという状態。
ベロニカとの記憶は主題となるが、伏線としてトニーが自分の妻子との関係の中に見せる態度、行動も重要。

トニーの性格や生き方の中にある自己中。誰にでもありそうだけれどもちょっと嫌だなといった行いをチラッチラッといくつか観客に気付かせています。

あくまで小説なのでありそうでない。でも無いこともない?そんな話の中に、自分では忘れきっていた自分がやった行い(トニーは忘れきっていたというご都合主義な所が問題)を何十年経過して知り、その時既に遅しかも知れないが、家族に謝り、心を改める。そこは救いではあると思う。

が、1人の死が40年も前に自分の衝動で書き送った手紙のせいだったとしたら....



Ps...鑑賞後に数人のユーザーさんのレビューを読んだら結構トニーに厳しめ(当たり前かな)な感想が多かったですね。
確かにそうだよな...と思うものの、私はジム・ブロードベントの演技が巧くて、人当たりはそんなに悪くないし、1人で小綺麗にして生きているし、ユーモアもあるし、悪い人に見えないから、年を重ねても素直に謝れたり、まだ元妻を好きだし、ちょっと甘えたい可愛い人だな☺️と思ってしまい、映画としてはとても好きな作品の一つに入りました❣️
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