カント

手紙は憶えているのカントのレビュー・感想・評価

手紙は憶えている(2015年製作の映画)
3.6
まだらボケ老人サスペンス&ロードムービー。起きたら全て忘れているので、手紙で思い出しながら目的遂行。脚本優秀。ラスト、今一つ。

ユダヤ人でアウシュビッツの囚人だった過去を持つ90歳の老人ゼヴ。
妻ルースが亡くなった事も忘れてしまう程に痴呆が進行。曖昧な記憶を辿る為、毎朝手紙を読む。それはアウシュビッツの区画責任者ルディ・コランダーと名前を変えたオットー・ヴァリッシュを探す為。

▼ルディ・コランダーと名乗る人物は4人居た。名銃グレッグを入手して、老齢と痴呆に苛まれながら、老人ゼヴは手紙を読みつつ目的に近づいていく。ゼヴはアウシュビッツの復讐を遂げる事が出来るのか。

▼ラストが残念。記憶を強制的に修正するのって可能なのだろうか。
痴呆の方に限らず老人は、若い時の記憶ほど鮮明なので、ある種、不思議な結末だと思った。

▼数年前のニュースで、アウシュビッツの囚人と看守が戦後70年を経て、再会したニュースを思いだした。彼らに憎しみは無く感動の再会として扱ったニュースだった。
当時の、愚かな国家の姿勢を憎むのは分かるとしても個人を恨む気持ちは変わらないモノなのか。
それは例えば「北」に拉致された家族が、いつまでも国家を憎むようなモノか。
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