Hilary

手紙は憶えているのHilaryのレビュー・感想・評価

手紙は憶えている(2015年製作の映画)
4.5

これは良作だと自信を持って言えます。


主人公が認知症を患っているという映画を観たことがなかったので、最後まで結末が予測できませんでした!
また警官やガードマン、パスポートをチェックする人等の言動にひとつひとつハラハラさせられました。

主人公が認知症ではあるけれども、記憶を通り越す程の憎しみを持っているはずなのにあまり乗り気でないことや、老人ホームの友人であるマックス(?)が不自由な体であることを理由にか、主人公をつかっている様に見えることにはじめから違和感を覚えてはいました。
また結末を知った上で思い返すと、銃を何不自由なく使えていることや、事後は取り乱している様に見えたものの、殺害に何の戸惑いも見せなかったことも伏線だったのかと気づきました。

認知症になってしまったのは歳のせいではあるけれども、何より自分の過去を忘れ去りたい程後悔があったのかもしれないなと思いました。(配偶者が亡くなると症状が進むと作中でも言っていたので)


原題の回収であるであろう最後の"I remember "がこれ程重く、これ程哀しいことが他にあり得るでしょうか。思わず身震いしました。