Angeprunelle

手紙は憶えているのAngeprunelleのネタバレレビュー・内容・結末

手紙は憶えている(2015年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ナチス・ドイツだとか痴呆症だとか
この作品の全てはただのメタファーに過ぎないのかも。

忘れる事は罪であり、時に救いでもある。
もしかしたらもがきながら生きてきた人間への
天からの贈り物かもしれない。

真実だけで生きる人の苦しみ。
虚偽に生きる人の責任逃れと空しさ。
幻想に生きられるある種の幸福。

やられた事はずっと覚えてる。

自分の手を汚さず一通の手紙だけで
復讐を成し遂げられる手軽な重罪。
このあたりは現代を生きる人は無視してはならない
他人事には出来ない部分だと思う。

ナチスであれユダヤ人であれそれぞれが自らの過去に
死ぬまで囚われ続けたと言う悲痛な現実。

ようやく様々なことを忘れてゆける年齢になってもなお
どうにも赦すことが出来ず
苦しんでいる人間が確かにいること。
それ程の罪を犯してしまったという事実。
そして赦さない人間が改たな罪を犯すという負の連鎖。

忘れてしまうのが苦痛なのではなく
思い出した時、我に返った時こそ苦痛なのだ。
何も知らない家族や友はその逆かもしれないけれど・・・

国に仕えたと言えば聞こえは良いけれど
その国が果たして正しいかは分からない。

服従の心理や我が身の保身が招いた哀しい現実。

最近ではあるスポーツの悪質行為が
ニュースで何度も取り沙汰されているけれど
誰がどんな立場でどのようにもがき苦しんでいるか分からない。

大人や権威者は正しい道に導く責任を担ってい
ることを
忘れちゃいけない。
Angeprunelle

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