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手紙は憶えているのADULTVIDEOMANのレビュー・感想・評価

手紙は憶えている(2015年製作の映画)
5.0
戦争の記憶の、殊に加害の記憶の忘却は決して許されないし、それは死をもってしても償われることはないし、そしてさらに加害者に復讐するという暴力を行使することもまた無意味の底なし沼に落ちる、とでも言いたげな。認知症ですらも忘却の言い訳にはならないという、<戦争責任>の果てしない重さ。だから結局は言語を用いて記憶を保持して物語を紡ぐしかないのだし、映画はこのようにエンタメ性と格闘しながら、自らもかつて戦争に加担する道具であったことも含めての歴史的反省を重ねていくしかない。そのなかでもそんな負債への応答を奇跡的に見事にやってのけた一本じゃないかと思う。政治的スタンスや時代背景は違うけれど、「アメリカン・スナイパー」にも比肩する鬱々とした後味の悪さに震えた。
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