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手紙は憶えているのSPNminacoのレビュー・感想・評価

手紙は憶えている(2015年製作の映画)
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認知症を患う老人セヴは、手紙だけを頼りに使命を果たそうと旅に出る。過去のシーンは全くない現在進行形なのだが、彼にとって過去を旅する道のりは遠い。本名を捨てアメリカ人の名前を持った人々、それぞれに背負った過去。道中では心許ないセヴに誰もが優しく、彼も素直にそのガイドに従う。記憶が頼りにならず、現在は過去を問わない。ならば、誰がその事実を憶えているのか。
逆回しでない『メメント』みたいで、もはや始まりから「信用ならぬ」系であり、とてもわかりやすい演出がされてそうなるとしか思えないので、最後は驚きではなかった。いや、決してミステリー本位じゃないのだろうけど、クリストファー・プラマーの悲壮感やテーマの重みに比べて一つ一つのエピソードや伏線が単純に感じ…子供たち、銃社会の風刺なども、作為が先立って見えてしまうのが微妙に勿体ない。
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