リッキー

手紙は憶えているのリッキーのレビュー・感想・評価

手紙は憶えている(2015年製作の映画)
4.5
877本目。
この映画はサスペンスのお手本になるような作品で、絶対に鑑賞する前に余計な情報を入れてはいけない作品です。

アウシュビッツ収容所にいた90歳になる認知症のおじいさんが、 同じ老人ホームに入っている当時の収容所仲間の指示により殺された家族の無念を晴らすため、 当時ブロック長だった元ナチの親衛隊を殺しに行く物語です。
主人公がいつ記憶を失くしても困らぬよう指示を書いた手紙が渡され、彼はこまめに手紙を確認しながらペンシルヴァニアから州や国境を越え本物のナチス逃亡犯を探し求めます。

主演のクリストファー・プラマーの本当に認知症であるかのような演技は見事です。
鑑賞していて高齢者を優しく見守る感覚になって応援している自分がいます。
ピアノを演奏するシーンが2箇所あったが、どちらも絶妙のタイミングです。
伏線が巧妙ですごく楽しめます。

序盤はゆっくりと、中盤から緊張感が高まってエンディングになりますが、約90分の時間に飽きることはありません。監督の撮り方が秀逸です。

戦争の悲惨さを伝える映画というよりは、ユダヤとナチの関係をうまく使ったエンターテイメント作品に仕上がっています。
リッキー

リッキー