ササミ

シクロのササミのネタバレレビュー・内容・結末

シクロ(1995年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ベトナム、貧しい家の18歳の少年とその姉がそれぞれ家の生活費のために華僑のヤクザ?と関わり合いになり搾取されることになる話。華僑のボスの女の息子は知的障害を持ち主人公と同じ18歳だが幼児のようにふるまう。同じ18歳の主人公は貧しい家の為に働くためにモクタクをお金を払って借りに来る。ふたりの対比が印象的。仕事中借りたモクタクを盗まれ、主人公はヤクザたちに部屋に監禁され、仕事を手伝うことになる。見張りのヤクザのリーダーがトニーレオン 、娼婦の元締めをしていて主人公の姉と恋仲だ。だが姉にも娼婦まがいの仕事をさせている。ほとんど何も語らず真意が見えない、ただ眼だけがいつも悲しい。

貧しさの末にヤクザ稼業に足を踏み入れなければならなくなった少年の話と思いきや、わりとヤクザ側の人たちの悲しみの話だった印象。その世界から抜けられるまだ未来ある人と抜けられない破滅を背負った人たちの明暗が運命で別れた最後なんだと思った。

若き日のトニーレオンが見たくて鑑賞したのでその点では素晴らしく良かった。この映画のトニーレオン は人の苦しみで金銭を稼ぎ、それに悩んでいるように思えた。ヤクザには似つかわしくない鬱々した感情を抱え、その重さと悲しさに寡黙に苦しむ姿はカッコいい。セリフが少なく、心境は察するばかりだが、その点ではかなり見てよかったかな
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