くろねこヤマ子

シクロのくろねこヤマ子のレビュー・感想・評価

シクロ(1995年製作の映画)
4.1
監督のデビュー作
「青いパパイヤの香り」が
黄土色に近い黄色のイメージ
だとしたら、
この作品は黄色と青と白色を
マーブルしたような、
そういう作品。

混沌としていて湿度を含んだ物語。
血とペンキと汗と
ねっとりとした長回しと
感情を揺さぶるワンカットが
挟まれた時のドキッと感。

自転車タクシーを生業とする、
職業と同じ名前の青年、シクロ。
貧しさゆえに落ちていく様を描く。

姉の視線がそこはかとなく色っぽい。
彼女はパパイヤ…にも出ていて、
やはり良い眼をしていた。

その時よりも良さが増しているのは、
監督の撮り方に「執着」があるからだな
なんて邪推したのだけど、
その間に伴侶となっていたと知って
なーるほど。

映画は鏡を見るように、
自分を投影して観ているかも
と、最近思っていて、

ストーリーがしっかりとしたものや
緩急のある作品も面白いけれど、
ゆったりとした空気の中で
自問自答をしながらじっくり観る、
こういう作られ方をした作品も好き。

フワッとした終わり方が
夢から覚めたような感覚になる。

監督は近作で少し手法を変えたらしいけど
どんな感じなのかな。
去年観にいけば良かった。