日向日向

おじいちゃんはデブゴンの日向日向のレビュー・感想・評価

おじいちゃんはデブゴン(2016年製作の映画)
2.5
老齢の英雄

実はしっかりと中国アクションを観賞したことがなく、今回が初体験といっても過言ではないのに選んだ作品はこれ。
『スパルタンX』等有名作品で活躍した彼が自らメガホンを取り、なおかつ主演を務めた作品である。

過去に自らの孫を行方不明にさせてしまった影響と進行する認知症が影響で、孤独に生きていた老人が1人の暴力を受けていた少女に出会って、交流を深めるが、マフィアの抗争に巻き込まれ、少女が攫われてしまう。そのため、孤独で生きてきた老人が立ち上がる。
ストーリーとしてはそんなところだ。
やや物語が冗長であるというのが非常に残念ではあるが、アクション自体は掛け値なしに素晴らしい。
何よりも、昨今のハリウッドアクションを全否定するかの如きサモ・ハンの拳法が優れている。”はっけい”など、中国古来の武術を取り入れているゆえか、アクションシーンでありながら不動による絶対的な安心感が強調されている風に思えた。
その徹底した不動さはキャラクターの設定上にある引退した屈強な軍人という設定を際立てている。また同時に、年相応の体の異常もまた、その設定を空気にせずに、活かしきれていると断言できる。終盤の呼吸を切らせながらも無数の敵たちを圧倒する様は圧巻としか言いようがない。

しかし、ストーリーは至って普通。というかかなり序盤から中盤にかけては退屈の部類にあたる。また、アクションシーンも過度にスローモーションが目立つため、酔ってしまいそうであった。
優れたアクションシーンであるのに、それが非常に残念でならなかった。
総評としては、魅せるアクションを意識しすぎて、それ以外に大事な要素を全部無視してしまった結果、なんとも言い難い作品ができあがってしまった、といったところだろうか。

ただ、終盤の悲壮感からの脱出は非常に優れてる風に思えた。なので、今作はそな悲壮感を最初から全面に押し出し、最後の最後に解決させてスッキリさせる、という手法をもっと取るべきにあった感じた。
日向日向

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