エミさん

大樹は風を招くのエミさんのレビュー・感想・評価

大樹は風を招く(2016年製作の映画)
3.2
フィルメックス2017にて。
中国返還前の香港。ギャングから足を洗ったものの、未だ熱が醒めない3人の男達が、暗黒街に広まった噂に翻弄され、運命を狂わせていく。

実在した3人のギャングの人生にヒントを得て映画化。香港ノワールではお馴染みの、ジョニートー監督主宰の映画祭で受賞した監督3人がそれぞれパートを演出していることや、中国のアカデミーとされる金馬賞にて脚本賞を受賞するほどの変わった構成の脚本で、興味深い映画でした。
主人公達の人生を通して、資本主義の華やかで自由だった栄光の時代から社会主義の未来へ変化していくことへの葛藤が、良し悪しの判断以前に、自分はどうあるべきか、現実をどう受け入れればよいのか、切なくて揺さぶられる映画でした。それと、エンディング曲が「時の過ぎゆくままに(中国語版)」だったのも刹那さを誘っていて良かったです。