巨匠ルキノ ヴィスコンティ映画の美しきスターだったヘルムート ベルガーの現在を追ったドキュメンタリー。現実とは思えない美しさを誇ったヘルムートの面影は、時々横顔に見え隠れする程度。酒と色んな薬の影響もあるのだろうが、変わり果てた姿に切ないというか哀れというか、人間誰しも老いるのだから姿かたちが変わるのはやむを得ないとしても、それでも何とかならなかったのかと思われてならない。映画でインタビューに答えていた、ヘルムートの自宅の掃除の女性、ヴィオラが数少ない信頼できる人だったのだろうと思うが、そのヴィオラも亡くなってしまったとのことで、ヘルムートの孤独がこれ以上彼を蝕むことのないよう祈るばかり。（2016/06/04 福岡市総合図書館シネラ）
