わたがし

トリガール!のわたがしのレビュー・感想・評価

トリガール!(2017年製作の映画)
5.0
 もっともっと凶悪なコメディを期待していたのだけれど、案外マイルドというか、そりゃあこんなストレートな青春物語でクソわけのわからないギャグをガンガンにやられても困るんだけど、やっぱり英監督の前作「ヒロイン失格」がとにかく好きすぎるが故の不毛な比較をどうしてもしてしまった。
 メイン二人のコメディ芝居はとにかく絶品で、画面の中で物凄い化学反応が起きている瞬間がたくさんあってそれだけで胸が熱くなるんだけど、なぜかありえないぐらい台詞が聞き取れない。録音が悪いのか整音が悪いのかそういう演出なのかわからないけれど、それが気になって集中して観られないシーンが結構あって、自分の中でそれはそれで味として受け止められるタイプの作品でもないので何だかなあ…という気持ち。
 それはともかくとしてとにかくクライマックスの飛行シーンはテンションあがるし、CGも何気にハイクオリティでびっくりした。いろんな視点からバッババッバ魅せていく編集、ダサいけどエモい音楽とそれが入るタイミング、それぞれの芝居とその融合、そういう様々な要素がキュッとまとまってひとつの映画になっていくという感覚がこの映画内で起きている現象(飛行達成)とちょうど重なっているような気がして、最後の最後はめちゃめちゃ泣いた。
 そしてとにかく池田エライザがもうめちゃめちゃにかわいすぎて泣きそうになった。ひとりだけリアリティ路線芝居をして若干浮いているところも含めてかわいい。そういうかわいいポイントもきっちり抑えているのがまたこの映画の好きなところで、女のカッコ良さ、ダサさ、ズルさ、かわいらしさ、そういう要素を全部描ききった上でのあのラストにはもう完全にやられて、これはこれでまた新しい解釈のワンダーウーマンじゃん、と思った。
わたがし

わたがし