チーズマン

哭声 コクソンのチーズマンのレビュー・感想・評価

哭声 コクソン(2016年製作の映画)
4.4
あっという間の156分!

ナ・ホンジン監督、『チェイサー』も『哀しき獣』も大変面白い作品だったんですが、その2作を合体させたような密度のこの映画、もう凄かった。

『哀しき獣』でもそうだったように、この映画も最初予想してたのとはどんどん違う場所に連れていかれて最後はなんだか深くて暗い穴の底だったような感覚。
一応ホラーなんだけどそのホラー内でのジャンルを次々跨いでいくような、序盤なんかはホラーコメディ的ですらありましたね。

主人公の警察官ジョングを演じたクァク・ドウォン、『弁護人』では本当腹の立つ悪役だったのが、今回は娘思いのコミカルなキャラで良かった、どこか愛嬌があるんですね、その愛嬌ゆえの弱さが映画で活きてました。
対する日本から渡ってきたという“山の中の男”を演じる國村隼、この存在感ときたら凄まじい、身体を張った役者魂はとにかくすごかったです。

何も確信の持てないまま圧倒的なテンションで展開されていくこの映画、観終わると一気に疲れが襲ってくるほど。
大袈裟に言えばなにか世の終末を予感させるような感覚すらありましたが、これは簡単に説明できるような感想が思い浮かばないなと思いました。
腹にくる低音よりも少し上、心臓を打ってくるようなエッジの効いた太鼓の音も良かったですね。

唯一作品の狙いとは関係ないところで可笑しかったのは、“山の中の男”國村隼がそのまま日本語で初めてセリフを言う場面で、あまりに良い声過ぎて笑ってしまいました。
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