マーチ

哭声 コクソンのマーチのレビュー・感想・評価

哭声 コクソン(2016年製作の映画)
4.0
《韓国映画 怒濤の10本レビュー:後半戦》
今年鑑賞した韓国映画10本を寸評で一気に投稿しています。
今日は後半戦ということで残り5本の作品を投稿しますので、是非併せてご覧下さい!


【下半期鑑賞映画寸評:2017】

❻『哭声/コクソン』
《あなたの信じる結末が全て
/ヴィラン 國村隼の挑戦状》

この映画の宣伝文句に〈疑え。惑わされるな。〉というのがありますが、正直疑っても惑わされるし、疑わなくても惑わされるので、もうどうしようもありません。笑
多分この作品疑えば疑うほどドツボにハマるので、流されるまま感じるままに漂いながら観た方がいいと思います。

ナ・ホンジン監督が観客を惑わせ続けることこそが本来の狙いだと語っているので、今作におけるその試みは大成功してるといっていいでしょう。深く掘れば掘るほど解釈が枝分かれしていきますし、何が正しいのか分からない作品なのに1本の映画としてしっかり成り立っているから恐ろしい。

「惑ふ」という感覚を映画で味あわせることってかなり難易度が高いのではないかと思います。ただ観客の「?」を積み重ねただけでは作品として破綻しかねませんし、観客の解釈がある一定の道筋を追えるようにしておかないと面白さもなくなってしまう。ところが今作はその絶妙なラインを巧みな演出と宗教的背景になぞらえたことで、超異色でありながら質の高い作品として見事完成させたことが素晴らしい。2017年の映画界に革命を起こした力作だと個人的には感じています(*´꒳`*)

ミステリー、サスペンス、宗教、悪魔😈、ゾンビなどなど様々なジャンルをぶち込んでおきながら其々がそれぞれに色を出しているからこそジャンルミックスとしての面白さも消失していませんし、打ち消し合うどころか互いに反応し合って更なる高みに向かっている様な厳かな雰囲気が印象的で、ふんどしだけのほぼ裸で山中を駆けずり回るヴィラン國村隼の怖さと強烈な存在感に圧倒されますし、結構笑えます!

ファン・ジョンミン演じる祈祷師がお祓いしているシーンはずっと爆笑🤣してました! あれ面白過ぎますよ! 完全に白石晃士監督の世界観じゃないですか!笑 ほんと読んで字の如く“バカ騒ぎ”って感じ!!笑

韓国映画を観ていて得た知識なのですが、韓国では割とキリスト教信者が多いようですね。『チェイサー』だったり『あなた、その川を渡らないで』だったりで印象的に教会⛪️が出てきましたし、それになぞらえた作品もよくあるみたいなので不思議に思っていたのですが合点がいきました! これ知らない人結構いるんじゃないですか?笑
今作も例外では無く…というよりある意味直接的にキリストの死と復活になぞらえた作品だと思います。メルギブ監督の『パッション』という作品に出てくるキリストと、今作の國村隼さんがダブったので韓国の宗教的な背景を調べてみたらやはりそうでした。韓国ではキリスト教がメジャーなのでより解釈し易いし、あの宣伝文句なのでしょう。まあ知らなくても十分奇怪な作品として楽しめることは確かなので、
そういう意味でもこの作品は凄い(*´ω`*)✨

疑うことさえできなくなり、惑わされ続け、ただ作品の流れに身を任せたままあなたが辿り着いた自分なりの結末が、この作品の全てだと思います。

非常に稀有でありながら質が高く作品としても面白いという稀にしか生まれないであろう驚異の映画、まだの方はお早めに是非👍


【p.s.】
下半期に突入しましたが、上半期鑑賞映画のレビューをまだ消化しきれていないため、下半期鑑賞映画も一部は寸評で投稿していきます。

いつもとは違い、極々短いレビューで投稿しています。暇があれば付け加える予定です。

従って、いつもの【映画情報】等もカットさせていただきます。

*詳しくは2017年7月3日に投稿している《『ローン・サバイバー』評》内の【p.s.】をご参照下さい。
マーチ

マーチ