ベルサイユ製麺

トロールズのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

トロールズ(2016年製作の映画)
3.6
アメリカン雑貨屋さんの片隅でじっとこちらを見つめる埃を被ったマスコット。奇抜な色で逆立てた毛髪。不敵に結ばれた口元。生気を感じさせない肌の色艶。そして虚無の奥底深くと繋がる虚ろな瞳。それがトロールの印象です。彼らに設定、どころか内面が有るという想像をしていなかったので、それの映画となると全くイメージが湧きません。

…トロール族は小さな妖精みたい感じで、歌う・踊る・ハグするのが大好き。正直苦手なタイプ!トロールズよりずっと大きなベルゲン族は悦びや幸福感を感じる事なく、いつも沈み込んでいます。うん、超分かる!
トロールズを食べる(!)とハッピーになれる事を発見したベルゲン族は、年一回トロールズをみんなで食べるトロールフェスを開催するようになります。ある年のフェスの直前、トロールズの王様は仲間たちを率いて、ベルゲン族の街から遠く離れた森の奥に逃げ延びたのでした。…それから20年後のおはなしです。

…脳が傷む。画面から化学物質が出てるとしか考えられない、度を超えたトリップ感です。身体がキリンのトロール、何なの?全身がシルバーのグリッターで、お尻から銀の粉吹き出すやつ、何なの?ベルゲン族に連れ去られた仲間たちを、王様の娘ポピー(アナ・ケンドリック)と孤独なペシミストのブランチ(ジャスティン・ティンバーレイク)が助けに行くという、それなりに緊張感のある筈のストーリーなのに、いきなりポピーが歌いだす。ポピーが歌うと草木も歌う!ポピーが踊ると蜘蛛や毛虫も踊り出し、何処からかカラフルなファンシー球が舞い降りてくる!手足の付いた雲にからかわれたり、1ツ目の鳥に呑み込まれたり…。あかん、脳がますます悪くなる…。
今作がマジ恐ろしいのは、その特異すぎる作風に次第に慣れてくる、というかもっと観たく・聴きたくなってくるところです。後半になると「こんな重たい空気、ポピーの歌で吹き飛ばしてよ!」とか「ブランチが寂しそう!ハグしてあげて」とか、完全にトロールズの一員気分になってしまってるのですわ…。
とにかく歌は激ウマで、ポップスやファンクの名曲がかかりまくる。テンポが良くて構成も抜群。それぞれのキャラクターの成長もキッチリ描いて、多幸感に包まれた大団円になだれ込む、本当に良くデザインされたドラッグです!あははははははは

…個人的には凄くツボにはまってしまって、かなりのお気に入りになってしまいました。トロール人形、一体くらい買ってみようかな?そのうちトロールの声が聞こえてくると思うのですよね。あははははははは

因みに、再生モードには“シング・アロング付き”なんてのもありますので、コレを観ながらうる覚えの“セプテンバー”なんて大声で歌った日には、公安にマークされる事請け合い!刑事さん、これは観賞用ですよ?あはははははははははは