Inagaquilala

マネー・スキャンダル 破滅への欲望のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

3.7
なんとも安易な邦題がつけられてはいるが、原題は「Equity」。要するに、あるIT企業のエクイティファイナンス(新株発行による資金調達)をめぐって、それを取り仕切るウォール街のやり手の証券ウーマンと対するライバルや「恋人」、女性検事たちのバトルを描いた金融もののサスペンスドラマだ。オリバー・ストーンの「ウォール街」をはじめ、この金融の中心で繰り広げられドラマは、間違いなく好きだ。それは人間の欲望がストレートに現れる場であり、テーマとしては、それだけで興味をそそられる。

そのうえ、この作品は女性が主人公で、対する女性検事やライバルなど、ウォール街をめぐる女性のドラマでもある。ウォール街を題材にした作品は、リリースした会社の惹句によれば、レンタル高回転の超鉄板ジャンルであるらしく、しかも元来が男の世界であるのに、この作品での中心となる登場人物は女性だ。そのあたりのバックストーリーも物語には反映されており、なかなか興味深い人生関係も見せてくれたる。

主演している女優さんは人気テレビシリーズ「ブレイキング・バッド」でブレークしたアンナ・ガンという人らしいが、男社会をわたっていく強い女性をなかなか素晴らしく演じている。彼女の部下で、ある意味、最終的には裏切ることにもなる女性の設定が、自分的には気に入った。たぶんこういう話はよくあるのだろうと、そして裏切りのきっかけも些細なことから始まるところがよい。怪しい金融関係者たちの暗躍もあり、なかなか楽しめる「ウォール街もの」だった。2016年の作品だが、日本では劇場公開されたのだろうか、記憶に残る限りはその印象がない。
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