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アリー/ スター誕生のshironのレビュー・感想・評価

アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)
5.0
絶対的歌姫が誕生する瞬間に立ち会う

ガガ様の表現力たるや!
一曲目の『ラ・ヴィ・アン・ローズ』で心を鷲掴みにされ、ブラッドリークーパー演じるジャクソンと同じタイミングで涙を拭っていました。

『愛の賛歌』を彷彿とさせるラストが圧巻!
喜びも、悲しみも、人生の全てを歌で昇華させることの出来る…まさにエディット・ピアフ級の歌姫が誕生する歴史的瞬間に立ち会ったよう。
身震いするほどの感動に包まれました。

常々シャンソンは一人芝居だと思っているので、シャンソンを歌える歌手の演技が、上手くないわけがない!!
いわゆる“スター映画”とは一線を画すガガ様の演技力は、前作の『スター誕生』で主人公を演じたバーブラ・ストライザントと並び、グラミー/アカデミーW受賞者となるかも?!

ドラマティックに人生そのものを歌い上げ、平凡に生きている私達に、あたかも同じ体験をしたかのような感動を与える事が出来る、たぐい稀なる存在。
残酷な神に選ばれたとしか思えませんが、辛い出来事も歌姫の覚醒には必要不可欠だったような気がします。
観ている最中、何故だかバレエ映画の『ブラック・スワン』がよぎって仕方なかったのですが、撮影監督が同じ方でした!
表現者のパフォーマンスを空気ごと切り取ったような、狂気をはらんだ映像に引き込まれます。


“表現者”としてのアリーが見せるプロフェッショナルな眼差しがとにかく魅力的で、一瞬にして射抜かれてしまうのですが、
うって変わって、普段のアリーが見せる飾り気のない表情はとてもキュートで、まるで少女のよう。
ガガ様の新たな魅力にメロメロでした。

新たな魅力と言えば、ガガ様にはいつも驚かされている気がします。
ジャズアルバムを出した時も、改めてその高い歌唱力に驚かされましたが、
なんと言っても、アカデミー賞授賞式で『サウンド・オブ・ミュージック』を歌ったのには、ブッ飛びました。
「こんなに伸びやかな歌も表現できるなんて!!」
サントラレコードで育ち、5才でジュリー・アンドリュースの日本公演に行く程ファンの私をも涙させる歌声に、ただただ脱帽でした。

オペラのマリア・カラスは“ディーヴァ アッソールタ/絶対的歌姫”と呼ばれているそうです。
“歌が上手い”とはレベルの異なる表現力の持ち主のことを指すのではないかと思いますが、
既にガガ様は絶対的歌姫の域に達しているでしょう。

ジャズ、ミュージカル、シャンソンと、各ジャンルの絶対的歌姫達のナンバーを歌いこなし、いったい次は何で私達を驚かせてくれるのか?
そのうちガガ様のオペラを聴ける日が来るかもしれませんね。
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