きよぼん

アリー/ スター誕生のきよぼんのレビュー・感想・評価

アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)
3.5
泣ける、夫婦漫才のような映画なのです。

映画の柱となっているのがライブシーン。その中でも飛び抜けていいのが、やはりジャック(ブラッドリー・クーパー)とアリー(レディー・ガガ)の二人のステージです。

ライブシーンというと、ノリノリの観客をアップで映してみたり、クレーンで空中から俯瞰してみたり、早いカットバックをはさんでみたり、などなどいろいろな演出がありますが、この映画ではひたすら二人の姿、表情を追いかけます。

じゃあ物足りないのかというと、全然そんなことはないのです。ライブのステージに引っ張り出し、優しくリードするジャックと、最初は戸惑いながらもやがて自信をもっていくアリーの表情が豊か。二人が調和するシーンは本当に素敵。

そして最高の状態の二人は客席をみちゃあいない。二人だけの世界なんですね。アーティストとしてゾーンに入ってる姿、恋人がふたりだけの世界にとんでしまってる光景にゾクゾクするんです。たとえば漫才師が本当に調子いい時って、ボケと突っ込みのお互いが、相手の顔しかみてないんじゃないか?って感じるときがあるじゃないですか。まあこの映画ではシンガーなんですが、あの最高潮の空気を映像に閉じ込めただけでも、価値がある映画といえるでしょう。

最初はジャックがアリーの才能を見込んでステージへ引っ張り上げ、やがてはスターとなったアリーが再起したいジャックへ手をさしのべる。

あるときは夫がリードし、またあるときは妻が支える。二人にとって最高の幸せを感じられる場所はステージの上だから。なんという浪花節!これ夫婦漫才やがな!

やや単調というかシンプルなんですが、クーパーとガガの何気ない二人の演技が素晴らしく。飽きることはありません。

「どうせガガが歌うだけの映画でしょ」とナナメでみにいった自分を涙ぐませる力がある映画でした。
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