たけちゃん

アリー/ スター誕生のたけちゃんのレビュー・感想・評価

アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)
4.2
もう一度君の顔が見たくて……


ブラッドリー・クーパー監督 2018年製作
主演レディー・ガガ、ブラッドリー・クーパー


素晴らしかったなぁ。
素晴らしかったけど、突き抜ける感動があったわけではない。本音を言うと、もう少しベタが観たかった。ガッツリ泣きたかったんですよね~。歌の力で感動的ではあったけど、それ以上ではないというのが正直な評価かな( ˘ ˘ )ウンウン
映画を比べるものではないけど、僕の個人的な感想では、ジュディ版スタア誕生>アリー/スター誕生>バーバラ版スター誕生、ですね。

ジュディ・ガーランド版の「スタア誕生」、そして、バーブラ・ストライサンド版の「スター誕生」を観て思ったのは、ブラッドリー・クーパーが演じた今作のジャックが1番共感できたことです。

過去作のノーマンって、出てきた時からダメ人間で共感しずらいのよ。バーブラ版のノーマンを演じたクリス・クリストファーソンは、本物のミュージシャンなんですが、ヨレヨレ過ぎて。
ジュディ版のノーマンは、品があるんですが、キャーキャー言われる以外に映画スターとしての格を示す場がない。
でも、今作のジャックは初登場のライブシーンからめっちゃカッコいい!スターとして本当の輝きを持っていましたね。それはライブシーンの撮り方の上手さでもあるんですが。歌は後で触れますが、ブラッドリー・クーパーの歌が本物で( ˘ ˘ )ウンウン
これは痺れましたね~。
だから、アリー以上に、ジャックに共感して、ジャックの映画になってしまっていた。それって「スター誕生」としてはどうなの?って思いが残る。
愛しているなら、どうしてアリーがジャックの悩みに気づけないのか、そこがどうしても腑に落ちないのよね。ミュージシャンとして耳のハンデを抱えるジャックの悩みがどれほど深かったのか分かってあげて欲しかった。

レディー・ガガ演じるアリーはとても良かった。
ガガ様、演技も上手かったですね。
ただ、ジュディ版のような思いには至らなかったかなぁ。
さて、詳しいレビューは、今回も音ネタと絡めて行いましょう( •̀ω•́ )و✧




さて、ここからは音ネタ💩ウンチクンです\(^o^)/
サントラ盤をご用意くださいませ!

今作はオリジナルの楽曲が本当に素晴らしいんです。
ジュディ版「スタア誕生」とも、バーブラ版「スター誕生」とも違う、今作のために書き下ろされた楽曲が本当に良いんです。

先に書いておくと、今作のパンフレットは物凄く充実していて、僕が音ネタを書く必要もないほどだけど、観点を変えて書いてみます(^-^)
とりあえず、パンフレット、おすすめですよ!
特に、松任谷正隆さんの記事は必読です( •̀ω•́ )و✧


まずはオープニングのジャクソン・メインのライブから、めちゃんこカッコいい「Black Eyes」。
ブラッドリー・クーパーが演じるジャクソン・メインは、カントリーロックのスターです。
日本だと分かりにくいんですが、アメリカでのカントリー人気は凄いんですよ。アメリカ人の心の歌なんでしょうね~。日本だと演歌になるかな?
ブラッドリー・クーパーと一緒に曲を書いたのはルーカス・ネルソン。ブラッドリー・クーパーの横でギター弾いていた人です。実はこの人、知る人ぞ知るカントリーシンガーのウィリー・ネルソンの息子なんです。今もニール・ヤングのツアーに参加するなど活躍中の本物のミュージシャン。映画でもバックバンドでギターを弾いていました。
彼とブラッドリー・クーパー2人の作る曲が本当に素晴らしいんですよね。

今回、僕もひと月以上前からサントラ盤聴いていましたが、このサントラ、本当に素晴らしいの。曲だけで勝負できる完成度で驚きました( ˘ ˘ )ウンウン
「Black Eyes」も掴みとしては完璧な1曲でしたね。

そして、アルバイトをしているアリーが、一人歌うのが「Somewhere Over The Rainbow (虹の彼方に)」。この曲は、もちろんジュディ・ガーランドが主演のあの映画「オズの魔法使い」の曲ですね。
これは間違いなくジュディの「スタア誕生」を意識して、彼女へのリスペクトを込めて歌ってますよね。
また、ジュディはゲイらにも寛容で、彼らからも慕われていたそうです。だから、LGBTを象徴する旗はレインボーフラッグなんです。
今作のアリーは、親友ラモンがゲイだったり、ドラァグクイーンのショーで歌っていたり、LGBTに対しての姿勢がやんわりと出ています。それも踏まえての選曲ですね。


そのアリーがドラァグクイーンのショーでゲイに混じって歌うのが、この「La Vie En Rose (バラ色の人生)」。エディット・ピアフの曲として有名なスタンダードですが、実はレディー・ガガ自身がライブで歌っていたのをブラッドリー・クーパーが聴き、映画でも使うことを決めたそうです。

レディー・ガガって、奇抜な格好で派手な歌を歌う印象ですが、ここ最近の彼女は違うんですよ。
2014年に発表したトニー・ベネットとのコラボアルバム「Cheek To Cheek」なんかでは、スタンダードを実に魅力的に歌っていて、歌の上手さをアピールしていましたし、ガガ様が2016年に出した近作「Joanne」は、「アリー/スター誕生」に近いアプローチで、心に沁みる曲が多くて驚きます。
だから、昔のイメージを期待して聴くと、きっとガッカリしますよ。僕も最初はそうでした( ¯−¯ )フッ
なので、この「アリー/スター誕生」のガガ様が好きなら、きっと「Joanne」も気に入ると思います。スルメアルバムなので、興味があれば、ぜひ( •̀ω•́ )و✧


ドラァグバーでアリーを待っている時に、ジャックが請われて歌うのが「Maybe It's Time」。アリーの歌を聴いて、何を歌うかちょっと考えてから歌いましたね。「そろそろ生き方を変えるべき」という歌詞が、この後のジャックとアリーを暗示していました。アリーに向けて歌っていたよね。


ドラァグバーを出て2人で飲みに行くのが、コップバー(警官用の店)。そこで客が流すのが、ジャックの代表曲らしい「Too Far Gone」。渋いナンバーですよね。
ここでのシーンで印象的なのは、客に絡まれたジャックを守ろうとアリーが殴りかかるところ。過去の「スター誕生」なら、ノーマンが殴ってましたよね。ここでアリーが殴るところが現代風( ˘ ˘ )ウンウン
それがあるので、2人も急接近する。上手い演出!


イントロしか使われないんですがアリーとジャクソンが歌う「Diggin' My Grave」は、めちゃめちゃ好きな曲でした。映画では、まだアリーと一緒に歌う前だもんね。仕方ないけど、もっと使って欲しかったなぁ。後半の「Diggin' My~、Diggin' My~」と畳み掛けるように歌う2人のデュエットが素晴らしいの( ˘ ˘ )ウンウン


アリーをライブに誘って、ステージ上で演奏されるインスト曲「Out Of Time」。く~、この曲、カッコいいなぁ。ドラムのスティックによるカウントに導かれギターが入ってきます。僕はこの曲を聴いて、ダイア・ストレイツを思い出しました。
そして、そのまま続けてライブで歌われるのが「Alibi」。シームレスで繋がるので、1曲だと思うよね。これもライブ映えするノリが良くてカッコいい曲。ルーカス・ネルソンはじめバックバンドのメンバーが輝く曲でした。「Alibi」は後のライブでもう1回歌われます。


そのあと、いよいよジャックがアリーをステージに呼び出します。過去作ではエスターを無理矢理な感じで引っ張り出しましたが、今作では、この曲はアリーが作った曲となっていて、歌う必然性を与えています。ただ、こんな風に聴いて直ぐに歌詞を覚え、バンドで演奏するのはアマデウス以外には出来ない芸当ですが(笑)、映画的にはめっちゃ盛り上がる場面( ˘ ˘ )ウンウン
歌は「Shallow」。
やっぱりここが映画のピークだよね。
「We're Far From the Shallow Now」って、訳では「浅い水から遠くにいる」って訳されていましたが、今ひとつ分かりにくい(>_<)。これは男女の関係が浅い水から遠いところに来た、すなわち、深い関係になってしまったことを表しています。アリーとジャックが既に強く結ばれていることを歌っている、まさにこの映画の、主題歌でした( ˘ ˘ )ウンウン


ジャックのライブに飛び入りで歌った映像がネットで拡散し、一躍時の人となったアリー。そんな彼女や家族の反応が描かれる時に流れているのが「Music To My Eyes」です。この曲はレディー・ガガとルーカス・ネルソンの共作。


「Always Remember Us This Way」
この曲も印象的でしたね~。
ジャックがライブのエンディングを変更すると言い出して、アリーのソロを提案し歌う曲です。ピアノに向かって切々と歌うアリーが素晴らしい。以前はレディー・ガガもピアノを弾いて歌っていたのですが、そんな昔の彼女を思い出せる曲でもありました( ˘ ˘ )ウンウン


ソロデビューに向けて準備を進めるアリー。
ダイナーでジャックに歌って聴かせるのが、この「Look What I Found」。ピアノのイントロが印象的なこの曲は、アリーの自宅の壁に掛かっていたキャロル・キングの「つづれおり」収録の「I Feel The Earth Move」や「Beautiful」にも通じる感じの曲でしたね。明らかに意識している( ˘ ˘ )ウンウン


ソロデビューしたアリーがイベントで一人歌うのが「Heal Me」ですが、いっきに今風になりますよね。このあたりのポップな雰囲気がジャックがアリーに反発する原因にもなります。ギミックなしで歌だけで勝負させたかったジャックの気持ちも分かるなぁ( ˘ ˘ )ウンウン


2人の結婚式のシーンで使われたのが「I Don't Know What Love Is」。レディー・ガガとルーカス・ネルソンの共作です。この曲も美しいなぁ。ブラッドリー・クーパーとのデュエットはサイコーですね( •̀ω•́ )و✧


念願のSaturday Night Liveに出演し、セクシーな衣装で歌うアリー。もう、まんまレディー・ガガ。
曲の「Why Did You Do That?」もガガっぽくもあるけど、僕はホイットニー・ヒューストンを思い出したなぁ。作曲にダイアン・ウォーレンが係わっているのか!なるほど、納得( ˘ ˘ )ウンウン


もう一曲。「Hair Body Face」も今のレディー・ガガのスタッフで書いていますが、これはマライア・キャリーかと思ったわ( ˘ ˘ )ウンウン


サントラ盤では、アリーとジャックが喧嘩をするダイアログの次に流れるんですが、この曲がどこで使われているのか、分かりませんでした。でも、この「Before I Cry」も印象的な曲でしたから、もっとガッツリ使われると思ってましたよ( ˘ ˘ )ウンウン


いよいよ、ラスト。
ジャックの追悼公演でアリーが歌うのが「I'll Never Love Again」ですが、この曲の演出には痺れました。サントラ盤聴いて、予想していましたが、それをサラリと超えていきました。ここについては、映画を観て、確かめてくださいね(^-^)


「Is That Alright?」
エンドロールで流れるこの曲は染みるなぁ。
ストレートに「I Want You」と歌われるアリーの心中を考えると泣ける( ᵕ_ᵕ̩̩ )



以上、「アリー/スター誕生」の楽曲解説でした!
映画は良かったんだけど、楽曲以上でなかったのは惜しいなぁ。でも、音楽聴いていたら、また、映画も、観に行きたくなってきますよね٩̋(ˊ•͈ω•͈ˋ)و


2019 1.07 ユナイテッド・シネマ札幌IMAX

札幌遠征して観てきました\(^o^)/
いや、素晴らしいわIMAX。
もう、腹に効く効く(笑)
はい、スコア修正しました( ¯−¯ )フッ