教授

アリー/ スター誕生の教授のレビュー・感想・評価

アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)
-
まず。監督としてブラッドリー・クーパーの演出力の凄さ。
出来事自体は波乱の展開であるにも関わらず描かれている人間ドラマは実はあまりない。
作劇としては、ライヴと主人公2人のイチャつきと、すれ違いのみ。単調且つ素朴なストーリー展開をシーンの繋ぎ方、そして「音楽」の概念的なものや、実際の使い方で巧妙に盛り上げている。
つまり。
この2人が音楽によって強く結びついていて、あるいは、すれ違っているか、が上手に描かれている。

そして。ブラッドリー・クーパーと、レディ・ガガの演技のニュアンスだけでなく、まさに音楽力の対決まであって。
つまり俳優であるブラッドリー・クーパーと、演技初体験のレディ・ガガ、そして音楽になるとそれが逆転するのだが、それぞれの分野の異種格闘技戦のみで双方負けず劣らずの熱戦が凄い。

その中で描かれているものは、ある意味で古き良きロック音楽の終わり、であり、それでも時代に惑わされず普遍的なものがあるだろう。ということをレディ・ガガ自身を投影させる、見ようによっては意地悪な描き方で見せてくれる。
それら全部を引っくるめて今、現在のレディ・ガガの全力っぷりに、エンドロールが終わるまで堪能できる。
あまり期待していなかったけれど号泣する傑作でした。
教授

教授