えんさん

機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV 運命の前夜のえんさんのレビュー・感想・評価

2.5
宇宙世紀0077年、“暁の蜂起”のあとシャアは蜂起の責任を取り、地球へと向かう。そこで不思議な力を持つインド出身の少女、ララァ・スンと出会う。一方、RX-78開発計画を進めているアムロの父テム・レイは、ジオンのモビルスーツ開発の重要人物であるミノフスキー博士が連邦側に亡命すると聞き、月へと向かう。月面で史上初のモビルスーツ同士による戦闘が開始される。そして、宇宙世紀0079年、地球から最も遠いサイド3がジオン公国を名乗り、地球連邦を相手に独立戦争を挑んできた。。TVアニメ『機動戦士ガンダム』のキャラクターデザイン、アニメーションディレクターを務めた安彦良和による同名コミックを4部構成でアニメ化した最終章を飾る作品となっています。

大人気TVシリーズ「機動戦士ガンダム」の前日譚を描く、”THE ORIGIN”シリーズの中でも”シャア・セイラ編”と呼ばれる、シャアとセイラの誕生秘話を描いたシリーズ最終章。”シャア・セイラ編”といいながら、ほとんどがシャアの成長物語であり、本作などもそうなんですが、それ以外のエピソードもウェイトが結構大きな作品になっています。本作の一番の主軸になるのは、ミノフスキー博士の亡命やテム・レイによるRX-78開発計画などの、いわゆるモビルスーツの進化と人類初となるモビルスーツ同士の戦闘というところへのフォーカス。電車オタクでも乗り鉄や撮り鉄などの違いがあるように、ガンダムファンの中でもモビルスーツの開発変遷に興味がある人には眉唾もののエピソードになっているかもしれません。ですが、僕はモビルスーツがスクリーンに大写しになるのは嬉しいものの、モビルスーツ自体にはあまり興味がないので、お話があんまり盛り上がっていかないところに少しイライラとしてしまいました。シリーズ最終章といいながら、シャアの動きがララァとの出会いのみで軽めに描かれるに過ぎず、セイラとかは、、出てきたっけ??という感じ。アムロの描写に力を入れるよりも、もう少し違うところに力点を置いたほうがよいかなと思いました。

原作コミックも少し読んだことがあるのですが、原作は「機動戦士ガンダム」の物語のリライトにまず主軸が置かれる形で始まり、途中から”シャア・セイラ編”、そして来年より始まる”ルウム編”のエピソードが挟まってくるという形で構成されています。もちろん、”シャラ・セイラ編”と冠を打ちながらも、シャアとセイラの物語のみでは展開していかないことは原作もそうなので理解していましたが、今回映画の4作品を見させてもらって、特にシャアやセイラのエピソードに関しては、原作ほどの力感がないかなということが正直なところ。1年戦争の前日譚として、どのようなことが起こったのかという歴史についてはちゃんと描かれていると思うのですが、その歴史の上に乗ってくるお話がシャアとセイラがジオンから脱出する1作目と、シャアがシャアらしくなってくることになった前作の3作目以外に、きちんと印象づけられたものがない印象でした。本数を一本減らしてトリロジー(三部作)にしてもいいので、一作中のドラマとしてのボリューム感をもう少し増やしたほうがよかったかなと思った、”シャア・セイラ編”でした。

それでも、来年の”ルウム編”もしっかり見にいくことになるとは思いますが(笑)