おだまき

ディストピア パンドラの少女のおだまきのレビュー・感想・評価

4.0
真菌が変異し、感染した人はゾンビ化する世界。とある軍事基地では、真菌に感染しながら自我を残す子どもを対象に研究、実験を行っていた。中でも主人公の少女は優れた知性を持っており…。


少し変化球のゾンビ系映画。漫画「約束のネバーランド」みたいな雰囲気?


子どもが出てくる場面が多いのですが、皆演技が上手くて世界観に入り込めました。特に序盤の軍曹が子どもに触れて豹変する場面はゾワッとしました。

前半の神話や寓話が映画の流れを象徴している所が好き。特に「シュレディンガーの猫」のやり取りが好きです。
「猫が生きている状態と死んでいる状態が1:1で重なり合った状態」は「ゾンビ状態でありながら人間の理性を保っている」主人公の状態のようだと思いました。

また、他の登場人物の「シュレディンガーの猫」状態の主人公に対しての考えがバラバラであることが印象的でした。
教師は「生きている(少女は人間)」寄りの考え、博士は「死んでいる(少女はゾンビ)」寄りの考え、軍曹はその中間といった感じでしょうか。考え方の違いで行動や主人公への扱いが明確に異なるのが興味深かったです。
ゾンビ系映画あるあるかもしれませんが、軍曹以外が割りと好き勝手に行動するので、軍曹気苦労してそうだなーと思いました。

☆以下ネタバレ要素あり






教師が始終いい人ではなく、途中で愚痴る所が人間味あって好き。完全な善人でない彼女はエンディング後、いつまで正気でいられるのか。

「真菌」だったり「ウイルス」だったり「抗"菌"薬」だったり単語に統一感がないような気がしました。


個人的にはラストの展開は映画「アイアムレジェンド(別エンディング)」の様で好き。


ゾンビ映画というより、「どこまでを人間とみなすのか」を問いかける哲学的な映画だと思いました。
2020-69
おだまき

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