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魂を救え!の一のレビュー・感想・評価

魂を救え!(1992年製作の映画)
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ミステリアスなスパイ政治劇でもあり恋愛を含んだ青春映画でもあり、やはりとらえどころがない。突然見知らぬ何者かの頭部を受け取った法医学生の主人公マチアスの行動原理はまず「死者を敬意を持って葬る」ことであり、まさに"頭の中をのぞく"ことで死者に接近していく。解剖シーンはギョッとするほど克明。冷戦後政治的に暗殺されたらしい頭の持ち主に対し、マチアスは冷戦下で外交官として奮闘した父への思いも重ねつつ、その死を握りつぶさせまいと躍起になっていく。この過剰な行動・思い入れにグッときちゃう。おせっかいな使命感に駆られる人物が好きなんだ。マチアスが官僚の友人と同居するアパート内が見事に冷戦構造になっているのも面白い。地球儀の扱いもわかりやすく対照的。
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