えりみ

幼な子われらに生まれのえりみのレビュー・感想・評価

幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)
4.1
予告の最初に原作者のコメントが入るんです。
ー原作を書いたのは21年前でした。
でも、映画は「いま」の物語になっていました。
それが原作者としてなによりもうれしい。最高の勲章です。-

映画観終わってまず思ったのは、20年も前にこのテーマを書いてる重松清スゲェな!でした。小説はめっちゃ読んでみたなったけど映画の方はあんまり響かず。
子供もおらず離婚経験があるわけでもなく、ただ世のお父さん方の気持ちを分かりたくて観たっていうのが問題だったのかも。
メインキャストとロケーションに違和感を感じて入り込めないまま終わってしもた。ラストに出てくるタイトルも「今、産まれたもんな」と…
主人公の表情の読めない静止画で終わるのは「人生(家族)は子が産まれてハッピーエンドっていう単純なもんちゃう!」ってことなんやろけど。生まれてきた幼な子の顔やったらアカンのか?と。
主人公が物心ついた子2人もおるバツ1専業主婦と何処でどう知り合ってスピード?再婚することになったのかも謎やし(主人公の元嫁が職場再婚するのは分かりやすい)やっぱり小説読む。

「血の繋がらない家族、血の繋がった他人」っていうコピー
「つぎはぎだらけの家族」って台詞
ちょっと調べたら小説が作られた20年くらい前が日本の離婚率上昇のピークで、2000年から2016年までは離婚率自体は低下してる(体感と違うのは婚姻率の低下が主要因だから)。クドカンが「再婚⁉ありえねー」って独りでいる方がリアルなのか。
台詞といえば、元嫁が元旦那に向かって言う「あなたって理由は聞くけど気持ちは聞かないよね」に、
「それが男女の脳の違いってヤツでしょ?大のオトナが、しかも一度は結婚した仲で今更ナニ云うとんねんっ!」とイラッ!!
キレた自分をこの後恥じることになるとは思いもせず(-_-;)
父親が主人公やのに男目線を感じないってのは女性監督だからなのか?フラットな撮り方のせいか?

何度も出てくる斜行エレベータのニュータウン。あれ関西人ならけっこう知ってる風景なんですよ、TVとかでもよう見るし。なのに舞台はがっつり東京。府中いうてるし、仕事場は木場いうてるし、待ち合わせしてたの新宿西口やし。いっそ何処か分からんようにしてくれても良かったのに(横田基地とかいる?)。
浅野忠信が大手に勤めながら家庭重視で飲みニュケーションもせず窓際に追いやられるサラリーマンってのが、ボタン一番上まで留めただけではしっくりこず、同僚と比べて年齢不詳の顔してるし。バツを何度も繰り返しそうな危うさだけはあった。
映画で観るとどんな役でもそう見える田中麗奈も今回だけはしっくりこず。DVから娘達を守るため離婚したママってもう少し生活力というか力強さがあってもいいような…再婚相手に元嫁と真逆のキャラ選びました!っていうのを分かりやすく表現したかったのか。
良かったのは、この2人が(期せずして)歌う「悲しみの果て」
大きな声でカラオケ歌うとストレス発散出来るよねぇ~、大人になると法律に違反せずパ~ッとやれること少ないしなぁ。
エンディング曲も本家エレカシで締めて欲しかったくらい良い選曲。
水澤紳吾に見せ場がなかったのも残念。。。


後日、原作読みました。文庫版は300pちょっとですぐ読めました。
浅野忠信はおいといて、他キャストはピッタリでした。でも浅野忠信が主人公の心情を上手く表現していたことは間違いない。
ほぼ原作に忠実で、読んで感じたことが映像化されていたので、
評価を3.7から4.1に上げた。
重松さんも執筆中に2人目を授かったんだそうで。
子供を持つ父親(母親)ならもっと評価上がるんやろうなぁ。。。
えりみ

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