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幼な子われらに生まれのkaoruiのレビュー・感想・評価

幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)
3.5
上下の動きをカメラが執拗に追う。ゆったり大きく上り降る観覧車、苛立ちのエレベーター、階段、テラスから見下ろす公園。この大きな運きが室内で展開される波紋が絵の中の小さな一コマで起きていることを表現する。やや揺れるフレームに演者たちを詰め込む。収まり切らないくらい詰め込む。時には音声がはみ出す。浅野の演技もいわゆる文法からはみ出す。それはドキュメンタリーに近い逸脱である。
ラスト近く一人一人を静謐に捉えた時、赤ん坊の泣き声と共に行き詰まっていた画面を風が吹き抜ける。
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