ゆき

幼な子われらに生まれのゆきのレビュー・感想・評価

幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)
4.0
つぎはぎの家族。つなぎ目は自分たち次第で。

バツイチ同士の再婚夫婦の間に授かった新たな命。
今の妻の連れである娘と血縁関係のある娘の間に揺れる父。
遠い記憶にいる本当の父親と今育ててくれる父親の間に揺れる娘。
多方面から描く重松清原作のヒューマンドラマ。

大人の都合に理解したフリをするのと
大人の都合を理解できないフリをするのはどちらも正しい家族のあり方なんだろうと思う。
子供ながらにきっと抱く複雑な感情をしっかり見つめていた作品でした。

「理由は聞くけれど、気持ちを気にしてくれたことはない」
これが一番グッとくるセリフ。
夫婦とは言え、親とは言え結局は不完全。
その穴を繋ぎ合わせる工夫をしないと関係は継続できないんですよね。

ぐっと抑えたトーンの一作。
現代的で統一感のある集合住宅。殺風景な住宅街を彩るのはいろんな家庭毎に灯る明り。
きちんと正装してくるダメお父さん。くどかんがいい味でした。
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