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幼な子われらに生まれのdramaticgasのレビュー・感想・評価

幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)
5.0
ファンタジーへ昇華するにはリアルすぎる「そして継父となる」なファミリームービー。否応なく人生の答え合わせを求められる中年期にフォーカスした(THIS IS US的な)ミドルエイジクライシスムービーでもある。

作り上げてきた家族が(自分の思い描いていたのとは違う)普通じゃないものであることに失望し、原因を探して何とか解決しようともがく男が、普通じゃないことを受け入れ、娘の今の感情と向き合うまでの物語。

幼い娘を背負って階段を登る彼の決意は、素晴らしく美しいけれど、同時に呪いとして自らと家族を縛ってしまうのだ。だからこそクドカンには人間のクズのままか、改心した正しい父親のどちらかでいてもらわなければ困るのだけれど、実際は(殆ど唯一の娘とのポジティブな記憶にすがって)着慣れないスーツのポケットに100円玉をパンパンに詰めるそんな男だったりするのが、現実!ってなった。