◇理由じゃなくて気持ち
とてつもなく泥臭い人間ドラマ。
心に突き刺さる。
ずっとずっと見たいと思っていたけど、公開中には見れず、飯田橋ギンレイホールでスコア2.9を付けた『夜空はいつでも最高密度の青色だ』と併映していたので、見に行った。夜空……の方も、感じ方が正反対になって、とてもとても良かった。
夜空、の後に見たこの『幼な子、われらに生まれ』は、人間たちが優しくて、意地悪で、美しくて、醜くて、どうにも愛おしい。
ちょっとしたことで、傷つき傷つけ合ってしまうのが人間達で、
傷つけ合うからこそ私達は分かり合えるんじゃないかな、と思った。
子は親から学ぶ、ってのも勿論だけど、
親でさえも子から学ぶことは多いし、
夫婦でさえもお互いから学ばされることはある。
寺島しのぶと浅野忠信の車の場面で、
寺島しのぶが言った「いつも理由ばかりを聞いて、私の気持ちは聞かないんだ」というようなセリフが本当に響いた。
人間の行動なんて、ほとんどが理屈はなくて、「そういう気持ちになったから」だよね。
相手に寄り添って考えるってそういうことなのかもしれない。
映像は、フィルム撮影?なのかフィルムデータに変換されてるのか、色の淡さと深みがある画面で、とても綺麗だった。
構図やカメラワークで魅せる!というタイプの映像ではないけれど、人物達の心の動きを淡々と映していく感じが良かった。