お湯

幼な子われらに生まれのお湯のレビュー・感想・評価

幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)
4.1
◇理由じゃなくて気持ち

とてつもなく泥臭い人間ドラマ。
心に突き刺さる。

ずっとずっと見たいと思っていたけど、公開中には見れず、飯田橋ギンレイホールでスコア2.9を付けた『夜空はいつでも最高密度の青色だ』と併映していたので、見に行った。夜空……の方も、感じ方が正反対になって、とてもとても良かった。

夜空、の後に見たこの『幼な子、われらに生まれ』は、人間たちが優しくて、意地悪で、美しくて、醜くて、どうにも愛おしい。

ちょっとしたことで、傷つき傷つけ合ってしまうのが人間達で、
傷つけ合うからこそ私達は分かり合えるんじゃないかな、と思った。


子は親から学ぶ、ってのも勿論だけど、
親でさえも子から学ぶことは多いし、
夫婦でさえもお互いから学ばされることはある。

寺島しのぶと浅野忠信の車の場面で、
寺島しのぶが言った「いつも理由ばかりを聞いて、私の気持ちは聞かないんだ」というようなセリフが本当に響いた。
人間の行動なんて、ほとんどが理屈はなくて、「そういう気持ちになったから」だよね。

相手に寄り添って考えるってそういうことなのかもしれない。


映像は、フィルム撮影?なのかフィルムデータに変換されてるのか、色の淡さと深みがある画面で、とても綺麗だった。
構図やカメラワークで魅せる!というタイプの映像ではないけれど、人物達の心の動きを淡々と映していく感じが良かった。
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