かじられる

幼な子われらに生まれのかじられるのレビュー・感想・評価

幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)
4.2
いつからか、
お祭りの金魚のように、
生きているのか、死んでいるのか、
分からない家族がいた。
抱えた闇をふくらませ、
歌えない歌を今日も歌ってる。

僕はくぐもった目で視線を逸らし、
その場限りの言い訳をして、
しがない仕事に精を出す。

プライド、しがみつくだけの王冠。

気づかなかったんだ。
女性という生き物が痛みや葛藤に敏感で、
いつも愛をせがみ、
抱きしめて欲しいこと。
きみがその手を離すまで。
流された涙が誰のためかを知るまでは。

繋がってなくてもいいじゃないか。
転がる笑顔があれば、
弾む会話があれば、
この階段だって登っていける。
破られた絵も取り付けたカギも笑い話になる。

同じ空の下で赤子が産まれ、
誰かが死んでいく奇跡。
その空気に触れ、
紫煙とともに吐き出していたため息。
指先が知っていた孤独は、
家族を担う喜びに名を変えた。

幼な子われらに生まれ。
かじられる

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