いつからか、
お祭りの金魚のように、
生きているのか、死んでいるのか、
分からない家族がいた。
抱えた闇をふくらませ、
歌えない歌を今日も歌ってる。
僕はくぐもった目で視線を逸らし、
その場限りの言い訳をして、
しがない仕事に精を出す。
プライド、しがみつくだけの王冠。
気づかなかったんだ。
女性という生き物が痛みや葛藤に敏感で、
いつも愛をせがみ、
抱きしめて欲しいこと。
きみがその手を離すまで。
流された涙が誰のためかを知るまでは。
繋がってなくてもいいじゃないか。
転がる笑顔があれば、
弾む会話があれば、
この階段だって登っていける。
破られた絵も取り付けたカギも笑い話になる。
同じ空の下で赤子が産まれ、
誰かが死んでいく奇跡。
その空気に触れ、
紫煙とともに吐き出していたため息。
指先が知っていた孤独は、
家族を担う喜びに名を変えた。
幼な子われらに生まれ。