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幼な子われらに生まれのminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

離婚経験のあるサラリーマンが主人公。彼は同じくバツイチで2人の連れ子を持つ女性と結婚し、連れ子の姉妹との関係も良好であったが、妻の妊娠をきっかけに長女との関係が悪化する。長女は本当の父親に合わせろと何度も要求するようになり、家庭内の不和に疲れた主人公は、実の父親との面会をセッティングするのだが…という話。
重松清の原作小説は未読。

バツイチ同士の再婚と、血の繋がらない親子関係の難しさを描いた作品。既婚のサラリーマンの皆様が観るとかなり痛い思いをしそう。
一度結婚に失敗している主人公は、娘たちに優しくかつ細心の注意を払って接しており、娘たちとの時間を作るため休日出勤や残業を避けてきたことで本社から閑職へ出向させられるくらいに家族最優先で生きてきたのに、妻の懐妊をきっかけにそれまで築いてきた信頼関係が一気に崩れてしまう。ただ、主人公にも悪いところはある。前妻との間に長女と同じ年の実子の娘がいて、数ヶ月に一度面会しており、無条件で主人公に愛情を向けてくれる娘と長女を心のどこかで比較していて、そのような無神経な部分を長女が敏感に感じ取り、反抗するに至ったのだと感じた。
姉妹の対比が上手く、物心つく前に再婚した次女は主人公を本当の父親と思っている一方で、長女は主人公と血が繋がっていないと知っているために逆に愛情に飢えているという設定がユニークだった。
主演の浅野忠信が珍しく小綺麗(笑)
で人の良い男を好演していた。どんどん追い詰められて終盤に壊れかけるのに、偶然にも助けられ、何とか家族を立て直したのは見事だった。田中麗奈演じる妻の前夫役の宮藤官九郎がとても印象に残った。彼のDVが原因で離婚し、長女との面会を嫌々で、金目当てで引き受けたような流れだったのに、当日は正装して娘との再会を待ち望んでいたような素振りを見せるところは何だかジーンときた。長女役の南沙良は、先日観た「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」で主役を熱演していたが、本作でも微妙な年頃の長女役を見事に務めあげていた。彼女のセリフは全部ナイフのように40代のパパたちの心を抉りそう。でも、小6役は無理があるなあ。あと、次女が無邪気なキャラクターなおかげで重苦しい雰囲気にめげずに観られた気がする(^^)

主人公夫婦が別々に行ったひとりカラオケで同じ曲を熱唱していたエピソードだけはほっこりした。浅野忠信は歌上手い。田中麗奈は…
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