はなこたちゃん

幼な子われらに生まれのはなこたちゃんのレビュー・感想・評価

幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)
5.0
例えば、
流行の服を買い替えるように
モデルチェンジした最新の車に乗り換えるように
もっと便利の良い住居に住み替えるように…

結婚相手も
その時代の自分のニーズに合わせて替えていく
若い頃は、お金より外見が好みとか、
一緒に楽しめる人
中年になったら、経済力のある人
老年になったら、精神的に安らげる人…

信と友佳(元夫婦)の会話を聞きながら、ふとそんな事を考えた

今はバツイチとかシングルマザーとかも珍しくなくなったし、現実にそんな結婚観も有りなのだろうか⁉️

劇中、信と再婚した奈苗の長女である薫ちゃんの
『前のとか、今のとかないの、パパは前も今も1人だけ』
非常に重く胸に刺さるこの言葉‼️

大人達が離婚したり、再婚したりする中で
やっぱり、1番優先して考え、守られるべき
『幼な子』が置き去りにされているのだという事を、突きつけられ居た堪れない気持ちになる

それぞれの結婚観や人生の選択を、
他人がどうこう言えるはずもないけれど
1つだけ思うことは
全ての『幼な子』が、
自分の存在が、かけがえのないものだと実感出来るように親や家族はもちろん、社会からも無条件に愛されなければならないという事

『理由は聞くけど、気持ちは聞かないのね』
『どうでもいい事ばかり覚えてるもんですね』
この2つはとても印象的なセリフ
※たとえ分かり合えなくても、相手の気持ちを考え、分かりあおうとする事、尊重し合う努力が大切だと思うし、日常の、どうでもいい他愛もないことが、実はとっても大切なものだったりするのだと思う😌


昨今の『幼な子』が犠牲になる痛ましい事件に思いを馳せ、大人の未熟さや身勝手さの為に、傷つき悲しむ『幼な子』が、
どうかこれ以上うまれませんようにと、
ラストカットは、そんな作品としてのメッセージだと受け止めました

是非、今こそ多くの方が観るべき作品だと思います。

原作は未読ですが、

手放した実の娘沙織への思い、
2回目の結婚で、今度はこの家族をしっかり守りたいと思う、父として男としての責任感や、
しかし実は会社では程のいい左遷にあい出向先で虐げられているといったサラリーマンとしての苦悩…
浅野忠信さん演じる信の、
抱えているものや、のしかかる重責みたいなものを、
この新しく美しいニュータウンの下から見上げた時の景色が何とも饒舌に物語っていて賛嘆です。

ロケ地を含めた、キャスティングも演技も本当に最高でした👏