みんと

幼な子われらに生まれのみんとのレビュー・感想・評価

幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)
4.0
ずっと気になりつつ再生ボタンが押せずにいた作品。『きみはいい子』が予想以上に響いたので似ているテーマのコチラも鑑賞。更に泣けた。グッと心に響いた。

重松清は一時期ハマり リアルな心理描写と何処か温もりを感じる筆致に感動したものだけど映像として観たのは今作が初めて。

今では珍しくない子連れ同士の再婚。大人同士の感情の適応能力は遥かに上がっているように思えるけれど、子供の心ではやはり割り切れないところがある。
そう言う意味では普遍的テーマであり離婚率上昇と共に切っても切れないテーマでもあった。

『サザエさん』や『ちびまる子ちゃん』で描かれるいわゆる幸せを絵に書いたような家族は時代と共に減少し、複雑化する家族構成の中で子供目線の生々しい描写や心の動きが繊細に描かれていた。まるで小さな心の叫びが聞こえるかのようで、やり切れなくて涙が溢れる。

ついつい母親目線で観てしまうこのタイプの作品も今作に限っては浅野忠信演じる父親目線で観ていた。共感しっぱなしの心の葛藤が痛いほど伝わってきた。

子を持つ事と親になる事は全く別の次元に思え、人が人を育てることに改めて責任の重さと尊さに気付かされる。

子供にとって母は偉大とか母親に勝るものは無いとかはよく聞くフレーズ。けれど
産み出す事の偉大さは勿論否定出来ないにしろ、ポンと出てきて はい!あなたの子供です!と言われる(極端な表現ではあれ)父親が父性を養うには本人の意思なくしては成り立たないのではないだろうか、、、

そう考えると未だ多数派である大黒柱としての役目を全うしている男性達は偉いなあ...と純粋に思えたりする。家族の為 子供の為 身を粉にして働き 人生を遂げるであろう父親の偉大さはもっとフォーカスされるべきではないだろうか、、、

父親 浅野忠信がこの作品の核だった。その存在無くしては何処にも幸せは見い出せなかった。私だったらとっくに投げ出していたかもしれない。

これが決してゴールでは無いラストカットにその先の人生が穏やかである事を願わずにはいられなかった。
みんと

みんと