ひろ

ワンダー 君は太陽のひろのレビュー・感想・評価

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
5.0
R・J・パラシオのベストセラー小説「Wonder」をスティーヴン・チョボスキー監督が映画化した2017年のアメリカ映画

涙が枯れるかと思った!
泣き所が多すぎて燃え尽きた

「スター・ウォーズ」が大好きで宇宙に憧れる少年らしい少年オギー。しかし遺伝子の病気で顔が変形していて手術を繰り返して育った。いつもヘルメットをかぶっていたオギーが学校に通うことになるんだけど、残酷な子供の世界の洗礼を受けるという展開

この作品は顔の問題で試練を受けるオギーだけの物語ではない。オギーを120%の愛情で守る両親はもちろん、自らの悩みもありながら弟思いのヴィア、ヴィアの親友のミランダ、オギーの友達になるジャックなど、オギーの周りの人間達の視点でも描かれているから面白い。オギーだけに焦点を当てるとオギーかわいそうとか単純な話になりがちだけど、それぞれの葛藤があるから深みのある作品に仕上がっている

いろんな登場人物の感情が押し寄せてきて、その度にウルっとなって、気づいたらそんなシーンの度に泣いていた。泣かせようって嫌味な感じが全くなく、ただ自然に涙が流れる感じ。奇跡の物語とはいうけど、オギーという普通の少年が居場所を見つけるだけの話だ。それがとてつもなく素敵なだけだ

オギーを演じたジェイコブ・トレンブレイ君。「ルーム」で史上最高の天才子役と言われた子役。今回は毎回2時間以上かかる特殊メイクをしたり、オギーの病気と同じ病気の子供達に会って役作りしながら友達になったりと、もはや子役の域を超えている。オギーは普通の男の子でありながら、普通の子とは違う苦しみを抱えている。こんな難しい役をまだキャリアの浅い子役が完璧に演じているんだから驚きしかない。この子役なくしてこの映画はなかった

両親を演じたジュリア・ロバーツとオーウェン・ウィルソンも素晴らしい。原作の大ファンで自ら志願したというジュリア・ロバーツ。昔は派手な女優さんだったけどナチュラルな美しさを醸し出す女優になった。2人に共通するのは結婚して子供がいること。オギーへのまなざしは子供達に注ぐものと同じ。見返りを求めない愛が伝わってくる素敵なキラキラした演技だった

「美女と野獣」の脚本とか「ウォールフラワー」での監督など、作品は少ないながら良作ばかりのスティーヴン・チョボスキー監督。これは最高傑作だね。ディズニーの映画じゃないのに「スター・ウォーズ」のキャラクター使用の許可が下りたのは監督と原作のおかげだろう。まさかあのキャラクターが出てくるなんて笑っちゃったよ。ほとんど泣いてたけど、そこは笑った。これは文句なく必見な映画!
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