柏エシディシ

ワンダー 君は太陽の柏エシディシのレビュー・感想・評価

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
2.0
うーん、、評価の難しい作品です、、。
甘くて美味しいスイーツを食べてる時とっても幸福なのに、食後に罪悪感を感じるのになんだか似てます、この感覚。
鑑賞中確かに心が揺れる瞬間はあったのですが、今反芻してみると、それで良かったのか?と感じてくるのです。

予告ティーザーの時点での御涙頂戴感動ポルノなんじゃないかなーという一抹の不安はありつつ、お気に入りの「ウォールフラワー」チョボスキー監督、「Room」のジェイコブ・トレンブレーくん主演ということでチェック。
不安は良い意味で裏切られたとも言えますし、悪い意味で予感通りというアンビバレントな感想。

まずは、オギーの部屋のセットをはじめとした可愛らしい美術やスターウォーズのアイツらのカメオ出演などのキャッチーさは好みだし、ジュリアロバーツ、オーウェンウィルソンもいつものケレン味を抑えた品の良いサポートアクトでとっても良い感じです。
なにより、可哀想な男の子の物語、というアングルを越えて周囲の人々にも視点を移し多面的に描いていく構成は嬉しい驚きで、お姉ちゃんの話やその親友のパートに流れていった時は、おっ、そっち?とグッと引き付けられました。

しかし、苦悩や葛藤の描き方が甘いというか、弱い。もちろん、必要以上に露悪的にする事は無いと思うのですが、意外に主人公達の都合の良い感じに問題が解決していくんですよね。身も蓋もなくいうと、なんだかんだ優しい人だらけの優し過ぎる世界なんですよ、この映画の世界は。
ジュリアンやミランダの視点こそ、本作のメッセージに厚みや深みを与える要素のはずなんですが、「都合の良い」展開であっさり消化されて、それで良いんか、、、?と捻くれ者の私は思ってしまいましたが。
陰影の淡い絵画が平坦に見える様に、人間の暗さや狡さをしっかり描けなければ、この作品のメッセージに深みや厚みを与える事は出来ないのでは無いでしょうか。
この作品の作り手は、其処に向き合っておらず、結果作品のテーマにも結果、忠実でない様に思います。

とは言え、鑑賞中やっぱり健気なプルマン一家に感情移入したし、それを眩しく見つめるミランダの視点にフォーカスした点は素晴らしいと思ったので(でも、彼女の決断と顛末には納得出来ないですが!)、嫌いとかつまらないとも思わないので、、なんとも複雑な心持ちです。
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