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ワンダー 君は太陽のろのレビュー・感想・評価

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
5.0


勇気の半分は、やさしさでできている


はじめて学校に行くことになった10歳のぼく。
だけど、みんなジロジロ見てくるし、イジメてくる奴らだっている。
ぼくはひとりぼっちだった。
信用できる人なんていないんだって悲しくなったよ。


学校に通い続けた主人公オギーの勇気、それは自分のための勇気。
でも、勇気ってそれだけじゃない。

オギーをバカにするやつらに振り上げた拳。
イジメなんてバカバカしいとオギーに差し出した右手。
やっぱりわたしの大事な親友なんだと気付いた瞬間。

彼らはもともと強いわけじゃない。
自分がイジメられることを恐れて迷うし、羨ましさや憧れのせいで大切な人と疎遠になってしまう。
だけど、彼らは“やさしさ”に突き動かされて、アクションを起こす。
“やさしさ”が人を奮い立たせるってこと、わたしは知らなかったよ。


わたしがとてもすきだったのはね、オギーのお姉ちゃんの親友ミランダ。
彼女はオギー一家が羨ましいんだ。
ミランダの両親は離婚。家は殺伐としていて、居場所がないって思ってる。
オギー一家のような温かい家族にとても憧れているの。

クリスマスの日。
窓の外からオギーの家を見つめている。
ツリーを囲んで楽しそうな一家。
寒空の下、一人たたずむミランダ。
彼女の寂しさと温かい明かりの対比、切なくて切なくてたまりません。

ミランダがオギーに電話を掛けるシーン。
第一声が、”Can you hear me, Major Tom?”
もうね、びっくりしたよ。
「ワンダーストラック」で流れていたDavid Bowie ”Space Oddity” の歌詞なの。
宇宙が大好きなオギーに寄り添いつつ、本当は自分の孤独に気付いてほしい。
ミランダの気持ちが伝わって、グサグサ、涙が止まりませんでした。


修了式の朝、お父さんとオギーが話すでしょう。
ヘルメットの話ね。
それ聞いてて思ったのは、人はみんなヘルメットを被っているんだなぁってこと。心にね。

オギーは顔を隠したくてヘルメットを被っていた。
傷ついた日は、食事のときもずっとヘルメット姿だったね。
でも、いつのまにか被らなくなっていた。
そのおかげで、大きな花火が美しく鮮やかに見えたはず。

わたしたちは(少なくともわたしは)、心にヘルメットを被せることがやめられない。
本音で話すと非難されて傷つくかもしれない。
ほんとうのじぶんをさらけ出すことを恐れてしまう。
だから、なかなかヘルメットを手放すことができないの。
ヘルメットをぽいと放り投げちゃえば、みんなの顔がもっとクリアに見えるのにね。



さいごに。
スターウォーズから友情出演、めちゃくちゃうれしいサプライズでした。
シスもちょこっとだけ出てきたけれど、なんといってもチューイだね、ほんとうにうれしかったです。
それもオギーがうれしかったり、悲しかったり。そういうときに出てきたでしょう。
それでね、気付いたの。
そうだ、チューイはいつもだれかに寄り添っていた。
ソロが拷問を受けたときも、冷凍されたときも。
だれかを責めたり、裏切ったり、善悪の間で揺れることもなく、喜びや悲しみを分かち合える存在。
オギーはボバがすきだと言っていたけれど、本当はいつもチューイに支えられていたんじゃないかな。


デススターの壊滅と同じぐらい、すごいことが起きた!
ほんとうにそうだよね、うんうん頷きながら微笑みながら、スクリーンを眺めていました。



( ..)φ

地震発生から3日目。
一週間ぶりの映画館でした。
京都の劇場は営業していたし、どのお店もいつも通り、すごく安心しました。
新京極のお寺・神社にお参りして帰宅。

1つ1つの何気ないことすべてがありがたく思えて泣きそうになる毎日です。





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