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ワンダー 君は太陽のabeeのレビュー・感想・評価

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
3.9
【だれだってだれかの太陽】

この作品は予告編の見せ方が抜群でした。例に漏れず、私も別の作品の鑑賞時に予告を目にしてその段階で既に号泣。絶対に観ておきたいと思っていました。

結果として、凄く良かったです。ただ予想していた作品とは違いましたね。
聞き慣れない名前の監督さんですが、この方かなり敏腕ですね。今まで脚本家として手掛けた作品が名作ばかりです。要チェック。

以下、わたしのエピソード交えているので超長いです。悪しからず。

生まれつき歪んだ顔で産まれてきたオギー。その見た目から人目を避け、自宅学習をしてきた彼は5年生になるタイミングで初めて学校へ通うことを決める。

この作品の素晴らしかった点はオギーだけを中心に描くのではなく、家族や友だちの思いも主観的に描いていたこと。彼だけが特別なわけではないことを忘れていません。
泣かせようとする映画ならオギーを「特別」な子どもとして描けば楽だけど、この作品では「普通」の子として描いています。

この手の作品は普通とは違う人間を「特別」だと主張しがちです。「サイモン・バーチ」「フォレスト・ガンプ」「イミテーション・ゲーム」など、どの作品も人と違うから「優れている」ように描かれています。

誰にでも「欠陥」があるし「長所」もある。
ある意味では「グレイテスト・ショーマン」と似てるかも。

何より私はオギーのお姉ちゃん、ヴィアとその親友ミランダに強く感情移入してしまいました。

私には幼稚園から20歳ころまで親友と呼べる友だちがいました。
まぁ結論、今は友だちではありません。あることがきっかけでわたしは一方的に彼女と縁をきりました。最近結婚したそうで、手紙が届きました。色々書いてありましたが、彼女はわたしに憧れていたそうです。
正直、わたしの家庭は普通の家より貧乏でした。家族5人で2Kのボロアパートに住んでたし(しかも何故かテレ東が映らず「ポケモン」が見れないので学校の話題についていけない笑)、ぶっちゃけわたしは愛想がなくて引っ込み思案でした。
一方彼女は2階建の大きな一軒家に住んで(「ポケモン」を毎週録画してくれて、見せてもらってました笑)、クリスマスパーティにはたくさんの友だちと本物のサンタさんがやってきて、夏休みには毎年家族旅行に行く、裕福な家庭でした。
わたしが彼女を羨ましく思うのは分かるけど、なぜ彼女がわたしに?と不思議でしょうがなかったですが、貧乏だからか早くに自立した子どもだったからなようです。学校には自分で弁当を作っていき、お小遣いは貰わず、高校にはいったらすぐにバイトをし、憧れのギターを買い、欲しいものは自分で手に入れ、やりたいことは自分自身で叶えてきました。音楽が好きで絵が得意、なんだかそういうところに憧れてくれていたようです。

こんな自分と彼女がヴィアとミランダに凄くダブって見えたんですね。それだけでなく、姉という立場から弟のために色々と呑み込んでいる部分にも共感しまくりでした。
不幸に見えることが、他人にとってはひどく羨ましいことであることもある。自分は人より劣ってると思っていても、実際は優れている部分もあって、自分でも気づいていない優れた部分を認めてくれている人がいる。
みんな普通だし、普通じゃないことを改めて教えてくれる良い作品でした。

ということで、自分の話が多くなりましたが、「オギーの行動で、周囲の人間が少しずつ変わっていく」なんて予告がされていますが、わたしの感想としましては、「オギーが現れたことで周囲の人間が、自分も知らなかった長所に気づかされていく」映画でした。だって、オギーは何もしてません。何なら周りの子どもたちのおかげでオギーが変わっていったとも思えます。オギーが太陽なら他の子どもたちはさしずめ月、オギーと関わることで輝きを増す、といったところでしょうか。逆に周りの子どもたちのおかげでオギーが輝く場面もあります。

オギーだけが「太陽」じゃない。
みんな、自分自身が「太陽」で、あなたがいるから輝ける星が、きっといるはず。

余談ですが、先のエピソードの元親友とは一度メールで連絡を取ったきりそれ以来疎遠です。
10年の月日は長すぎて今更敢えて親交を取り戻そうとは思えなくなってしまいました。
それぞれ新しい世界が出来上がっていますからね。わたし、頑固なので、許せないものは許せないのです笑